溶けちゃうから食べたい。

ところで湖畔にある激混みの小さな人気のパフェ屋さん、スタッフさんが必死に作ってるけど、2個ずつしか提供されない。先に届いたかわいいパフェを炎天下のテラス席へ放置して待ってる7人組のグループがいた。仲間の分を全部並べて一緒に写真撮りたいらしい。

自分はこういうの、もう気になって気になって仕方ない。パフェが垂れるでしょうにと。一刻も早く食べなさいよと。言葉は悪いが馬鹿ですかと。同調性を求めた結果の集団自殺はご自由になさればいいが、パフェとパフェ屋さんがかわいそう。

届いた端から俺が食べたい。

こういうのって、「ねえねえ、一緒に並べてみんなで写真撮ろうよ。」って言い出すリーダー格の誰かがいるんだろうか。「そうだね」、「いいね」、「ナイスですね」と盛り上がるんだろうか。「えー、溶けちゃうからどんどん食べたい。」なんて言うと、空気乱すやつとしてグループ内処刑されちゃうのだろうか。それがこわいのだろうか。

仲間の分のパフェが届くのを待って、渋谷の忠犬みたいにテーブルの上の溶けてゆくパフェを眺めている7人組をとりまく空気は、あまり楽しそうに見えなかった。内心ではみなさん早く食べたかったのだろう。

そりゃそうだ。パフェだもん。

「みんなで」みたいに、なにごとかを言い出すリーダー格の誰かがいたとして、リーダーの存在なんか認めるからよくないのだ。

政治家が典型だ。愚鈍な自称現リーダーへのカウンターが欲しいのはわかる。でも今どれだけ納得できることを言っていても、目新しい特定個人の彼を彼女を次のリーダーとして持ち上げる時点で、集団自殺への第一歩が始まっているんじゃないか。

「彼は彼女はいいことを言ってる。支持する。」と、あまりにもイノセントかつナイーブに口にする人が多くて、ちょっとびっくり、けっこううんざりしてる。政治家をまつりあげるのは詐欺師を応援するのと同じだ。帰依してどうする。

おいしいパフェは自分で探して自分の好きなタイミングで食べればいいだけの話だが、民主主義はスイートじゃないみたい。

どんどん食べろ。

ふうん。人間ってめんどうだね。釣り行こうよ。