あまり知られていない諏訪湖のアメノウオ。
『桜鱒の棲む川 ─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!』(水口憲哉)にはこう書いてある。
天竜川の最上流域に生活しているサツキマスまたはアマゴが、フォッサマグナと関連して断層湖である諏訪湖に閉じ込められたのである。
現在は専門に狙って商売になるほど生息していない。というよりはワカサギの捕食者として害魚視する人もあり、その存在を研究者もおおっぴらにしにくい。研究者や環境省に無視されている絶滅危惧種である。
諏訪湖のワカサギはもちろん移入種。生物多様性に鑑みて、どんな諏訪湖の姿が人類の利益に貢献するのでしょう。
そしてこんなニュースも。
諏訪湖固有亜種のアメノウオ(諏訪マス)の産卵地が、メガソーラー建設で危機。
諏訪市四賀のソーラー事業が進むと、諏訪地域でのみ生息、生育、繁殖する固有亜種の降湖型サツキマス『諏訪マス』や在来原種とされるアマゴ『信州縄文アマゴ』が絶滅しかねない」-。
県や四賀ソーラー事業を計画するLooop長野支店などに、「固有亜種のサツキマス(降湖型)の絶滅回避に向けて配慮してほしい。死滅してからでは取り返しがつかない」旨の訴えを盛り込んだ意見書と保全のための対策をまとめた提案書を5日付で提出した。
地域の固有種はふるさとの誇り。産卵地を明らかにするのは覚悟がいることだったが、その地域にいるべき魚がいられる環境は何が何でも守り、後世に残していかなければならない
まさに生物多様性保全の根本問題。バスが移入種のワカサギ食うとかと質が違う。
諏訪のメガソーラー建設計画のことは、水口さんに教えてもらうまで自分は知らなかった。今年の春に諏訪湖へ釣りに行って、地元の人から、「40っくらいになるマスがいるよ」と、話を聞いていたのに。
〈フライの雑誌〉次号第118号の「釣り場時評」で、前号で紹介した鴨川メガソーラー計画のその後の展開と、諏訪のメガソーラー建設計画について、水口憲哉氏がレポートしてくださいます。じつは鴨川メガソーラー計画地の川へ、水口さんといっしょに自分も調査へ行きました。そのことも別コラムで書きます。
釣り人でも声を上げれば何かが変わります。