キックやMMA(総合格闘技)の大会中継を見るのが好きだ。ちょっと前のこと、いつものように寝っ転がって、血湧き肉躍るトーナメントの闘いをサムライTVで視聴していた。
「なんで勝った人のそばに水着の女の人が立つの」と、近所の子どもが聞いてきた。
まさにいまリング上では、万雷の拍手のなか、勝者を讃えるセレモニーが行われようとしていた。
とぼとぼとリングを降りていく敗者と対照的に、頬を紅潮させた勝者は全身にフラッシュを浴び、ファイティングポーズをとってリングのど真ん中へ誇らしげに立っている。
勝者の両脇には、布地を節約しまくったヤバい水着を着た若くてきれいなお姉さんが二人も、超ピンヒールでぴったり寄り添って微笑んでいる。ボヨヨン ×2 だ。
「なんで勝った人のそばに水着の女の人が立つの」と聞かれて、つい「そりゃ勝ったご褒美だよ」と答えた。答えてすぐに(あ、これまずいやつだ)と思った。
あわててWWEのディーヴァとか、モーターショーのコンパニオンのこととか、喋れば喋るほど沼。古代ローマの剣闘士のこととか持ち出したけど、時代をさかのぼればさかのぼるほどに、とことん沼。逆ギレ気味に、
「じゃあお前、命がけで闘ってやっと勝ったのに、へんなオッさんが横に来て挟まれたらうれしいかよ」
と自爆してますます沼。
人間の歴史は食べ物と女の取り合いなんだよ、と言いそうになって、さすがにこらえた。男だって最近はやりの〝イケメン〟なんか性を商品化するルッキズムの分かりやすい現出だろうにとか、子ども相手にそこから先を展開する度胸がない。
「お前も大きくなったらわかるよ、世の中いろいろあんだよ」
へたれだ。釣り行ってくる。
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