10万あればひと月暮らせると、バイトで貯めた10万円を握りしめ、250ccのバイクにフライロッドをくくりつけて、竹芝桟橋から釧路行きのフェリーに乗ったのが19歳の時。もちろん野宿。
10万円は自分にとってそういう数字。
釣りすることで頭がいっぱいで、ガソリン代分の予算を忘れていた。後半はお金がなくなった。
川で釣ったニジマスとイワナとオショロコマを、交互に毎日食べてしのいだ。コッフェルで焼くと皮がはがれるんだよね。
釣れない日は空きっ腹を抱えて過ごした。そんな経験から、今もリリース信奉派では全くない。
⼀⼈当たり10万円ずつくれてやるよ、というありがたいお話を聞いてると、自分のどうでもいい青春までバカにされたような気がしてさ。
ちなみに、10万円あればひと月暮らせるぜ的な考え方、および実際の暮らしぶりは、30数年後の現在もあまり変わらない。
家族よ。
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フライの雑誌社では、ここに来て日々の出荷数が増えています。「フライの雑誌」のバックナンバーが号数指名で売れるのはうれしいです。時間が経っても古びる内容じゃないと認めていただいた気がします。そしてもちろん単行本も。
島崎憲司郎さんの『水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW』は各所で絶賛されてきた超ロングセラーの古典です。このところ突出して出荷数が伸びています。