FM桐生さん「You’ve got Kiryu!」2020年12月7日放送回に島崎憲司郎さんが出演しました
放送から一部を書き起こしてみました。
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前回は時間調整用でイントロを長く弾いていたら、ぜーんぶ放送されちゃった。聞いてる人はたまったもんじゃなかったでしょうね。あたしのギターは落語の「寝床」ですから。黒門町の「寝床」聴いてください。いまの噺家の「寝床」でもいいから聴いてもらって、それからあたしのギターを聴いてもらうと、「ああそういうことか」ってわかります。聞きたくもない義太夫ですよ。自分でわかってますから。(笑)
わたしは観察者なんです。水生昆虫の観察をずーっとやってきて、家業を潰しちゃった。道楽者の成れの果てです。あの世界はね、1ミリ、1ミリまでいかないかな、3ミリとか5ミリとかそんな小さい虫もいるわけ。大きくても15ミリ。そういう虫の、足の爪の先がどうなるか、なんかを見ている。しかも夜に懐中電灯をつけてね。渡良瀬川の川の中に入ったりしてね。そんなことを何十年も続けてるんです。40年くらいかな。
そういう観察というのは、ひとつのものを見るだけじゃなくて、すべての現象が同時に動いているという視点に立たないと、判断を間違えるんですよ。そこだけ見ていると、木を見て森を見ずになっちゃう。それに気がつくのにね、やっぱり10年くらいかかるんです。いまの国際社会の動きを観察するのも、まったく同じですね。同時多発的に起きているいろんな物事を、いろんな角度から見ていないと面白みが少ないんですよ。
── 寝ているひまないじゃん(笑)
そう。寝ているひまない。だって、もう寝ようかな、と思っているときに突然トランプがスピーチ始めちゃったりするから。トランプじゃないや、トラさんね。
わたしはドナルド・トランプの政治的な評価は別にして、ああいうキャラクターが好きなんです。ああいうのをスペインでは「あいつはフラメンコだ。」っていう言い方をするんです。フラメンコっていうのは、強烈な個性を持っていて、他の人には操られない自分を持っていて、いったん決めたら梃子でも動かない。フラメンコの原義は、炎がゆらゆら揺れているような、ということです。褒め言葉なんですよ。
しばらく休んでいたギターを弾くようになったら、血行が良くなりました。
── 前回の放送で「フライの雑誌」サバイバルというワードが出ていました。具体的にご説明をお願いします。
そうそう。わたしは15年くらい前にかなり重度の腰椎椎間板ヘルニアになったんです。そのときにね、野々垣洋一さんという脳神経外科のお医者様にお世話になりました。野々垣さんはフライフィッシングがうんとお好きでして、わたしを贔屓にしてくださった方です。この家にもなんどもきてくださいました。奥さんがすごく美人なんです。いま隆子さんがいらっしゃるその場所によく座っておられて。
── わお。
野々垣先生のアドバイスで、手術をしないで……。
さいきんはめったに表へ出てこない憲司郎さんのレアなギターと話芸をご堪能ください。
※〈シマザキフライズ SHIMAZAKI FLIES〉は進行中です。アシの山田二郎さんがときどきiPadから最新のシマザキフライの写真を送ってくれます。ちょっととんでもないことになっています。
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〈フライの雑誌-直送便〉の読者様には、小さいほうのカレンダーを12月5日発行の次号第121号(北海道特集)に同封します。第120号(大物特集)が直送便でお手元に届いている方は、何もされなくて大丈夫です。そのまま第121号以降も届きます。 すみません、残りわずかです。新規申し込みの方は先着順で差し上げます。
フライの雑誌社では、ここに来て日々の出荷数が増えています。「フライの雑誌」のバックナンバーが号数指名で売れるのはうれしいです。時間が経っても古びる内容じゃないと認めていただいた気がします。そしてもちろん単行本も。
島崎憲司郎さんの『水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW』は各所で絶賛されてきた超ロングセラーの古典です。このところ突出して出荷数が伸びています。