『黄色いやづ 真柄慎一短編集』を紹介いただきました
帯には、〈現代のニック・アダムス物語〉とある。たしかに、ヘミングウェイが分身的主人公となったニックは、「心が二つある大きな川」(大久保康雄・訳)で鱒釣りをした。ただ、ニックの釣りは、第一次世界大戦で受けた心の傷の癒しとして機能している。いわば、「釣りを」使って人生を立て直しているのだ。
一方、真柄氏の「僕」は、「釣りで」人生を構築している。〈「この夏のオイカワ釣り」〉の、息子の釣りへの情熱を確かめる「僕」の執拗さ、からだを傷めてまで釣りに没頭する「僕」の姿には、向日性でありつつ狂気のきらめきも感じさせるハードボイルド感があり、その点では「ニック超え」かもしれない。畏怖と羨望を感じる。「畏怖と羨望を感じる。」
ヘミングウェイを越えたハードボイルドな釣り小説
熟読乱読 世相斬り 日刊ゲンダイ 連載98 大岡玲さん(2021/03/30)
「良質な私小説の連作短篇として」
黄色いやづ 文壇高円寺|荻原魚雷さん(2021/03/16)
「本書中、一番好きなフレーズは、」
父への手紙 平和製作所|亮太さん(2021/03/18)
「これはよほどの腕前が必要ではないだろうか」
黄色いやづ daily-sumus2|林哲夫さん(2021/03/20)
「青春文学、と言ってもいいだろうか。」
twitter |「些末事研究」KENJI FUKUDAさん @nirusuken(2021/03/21)
「いかにもな〈東北親父〉が『んだ。』とか『あっぺ。』とか『いらね。』とか」
真柄慎一さんの「黄色いやべ」じゃなくて「黄色いやづ」|四釜裕子さん(2021/03/22)
「まさに打ちのめされました。これはいいですよー!」
【本日の一冊】|『本の雑誌』さん @Hon_no_Zasshi (2021/03/30)
素敵な書評って、かゆいんだけどどこがかゆいのかわかんない時に、あなたがかゆいのはここですね、とズバリ指し示して孫の手でかいてくれる、そんな金の斧か名医だと思いました。言いたかったのはそういうことです。かゆかったのはそういうとこです。ああ気持ちいいです。ありがとうございます!
大岡玲さんの、〝「釣りで」人生を構築している。〟のフレーズについて、「はからずも」そうなっているというのが大事。狙って釣りで人生を構築しようとしている人物には、どうぞお好きにとしか言えない。真柄慎一さんには、ずっと書き続けてほしい。
(編集部|堀内)
いい本なので繰り返し。『黄色いやづ 真柄慎一短編集』を紹介いただきました。いい書評って金の斧か名医だと思います。言いたかったのはそういうことです。かゆかったのはそこです。ありがとうございます。https://t.co/KGKxWgXV2i #flyfishing #フライフィッシング #fishing #釣り pic.twitter.com/FWxQAdtyjt
— 堀内正徳 (@jiroasakawa) September 30, 2023
///