この季節の北海道内のメジャーなポイントは、アキアジ(シロザケ、チャムサーモン)狙いの釣り人でごった返している。控えめに言っても阿鼻叫喚の地獄である。
ふだん釣りなんてしないような、そこらのおじさん、おばちゃん、にいさん、ねえさん、じいさん、ばあさん、お子さん、ペットの犬まで、一族郎党総出で海岸に雄々しく立つ。握りしめているのは、アキアジ釣り用のいわゆる「北海道竿」である。ホームセンターで売っている。地域文化財に近い。
北海道は昔ほどアキアジもカラフトマスも釣れなくなった。いいかげん人も減ったろう、と期待するのだが、さにあらず、釣れなくなったここ数年で、かえって人間は増えているんじゃないだろうか。椅子取りゲームみたいなものだ。
何年か前にカブラー斉藤氏とアキアジ釣りへ行った時、オホーツクの釣具屋さんで買い物ついでに様子を聞いたら、「●●川はこないだ死人が出たからね、行かないほうがいいよ。」と、教えてくれた。ぼくら昨日●●川行ってきたんですけど。
エサ釣りどうしのケンカの理由は、ラインがクロスしたとかの定番だったそうだ。人が多すぎて、根性のないわたしたちは竿を出せなかった。あんな中でフライフィッシングなんてむりむりむり、やっぱむり。さらにおっかないことには、そのスジの方が一般人に混じっていて、シノギとしてアキアジのタマを狙っているそうだ。それじゃまるで「ヤ●ザめくり」じゃないですか、って。
河口の水面直下でゆらゆらしているような、やる気がないカラフトマスはめったに口を使わない。ウキ釣りで目の前に赤いイカ短冊をぶら下げて早朝限定でなんとかどうにか、という感じ。だから引っ掛け親父とかが登場してくる。違法です。雑貨屋の店先で普通にギャングばり売ってます。
下の写真は、14、15年前の忠類川で釣ったカラフトマス。激流をスウィングさせたストリーマーへ食らいついてきて、流れを遡ったりジャンプしたりテールウォークしたり、8番ロッドで大騒ぎだった。
しかもこの日は入れ食いで、「フレッシュランのカラフトマスは別の生き物だ!」と認識を改めた日だった。人間もいなかった。(これが一番大事)
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