【公開記事】第125号「トピックス」

毎号ある「トピックス」(編集部まとめ)は、地味ですが毎号気合いが入っています。〈フライの雑誌〉最新第125号の「トピックス」ページを公開します。よかったら125号を手に取ってください。

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トピックス

124号から125号までの世の中の動きとか釣りとか
(編集部まとめ)

① シニア割よりヤング割を

管理釣り場さんは、「シニア割引」より、「U19割引」をしたほうが、長い目でも短い目でも経営上よいかと思います。
気持ちのいい管理釣り場なら、上質なシニア層は割引を気にせず目指して来てくれます。そもそも、U19より+60のお客様の数が上回っているはず。ゆとりあるシニア層への感謝をアピールするより、未来あるU19層を育てる方が、理にかなっています。
若い人を応援することで釣り場が活気づき、釣り文化の継承にも貢献します。そんな姿勢を上質なシニア層は支持してくれます。シニア層を集めても若い人は呼べませんが、若い人が集まれば、シニア層も集まります。

② クマの人たちのヒグマの絵

日本クマネットワーク(JBN)さんの会報誌が届いた。表紙は編集委員各氏によるそれぞれ目線でのヒグマ。いずれ劣らぬ筋金入りの〝クマの人たち〟でも、各自でクマがこんなに違って見えていて、こんなに表現手法が違っていることが面白い。(画力はおいといて) フライタイイングでの表現にも通じそう。

③ 『ビッグイシュー』に水口憲哉さん

『ビッグイシュー日本版』426号に、『フライの雑誌』連載中で『淡水魚の放射能』著者の水口憲哉さんが登場しました。タイトルは、「放射能汚染と闘った漁民の歴史から学ぶ 人と魚と水の関係学研究者 水口憲哉さん」。水口さんの経歴と活動がていねいに紹介されています。
水口さんは約50年前に福島第一原発の放射能影響調査を行なっています。その経験を踏まえ、2011年原発事故で発生した放射能汚染水を海へ棄てることへ疑問を投げかけています。

④ 山田二郎さんがチーフに昇格

3月、島崎憲司郎さん主宰の群馬県桐生市〈シマザキデザイン・インセクトラウトスタジオ=ITS〉へ行ってきました。当日対応してくださったのは、ITSのチーフアシスタント、山田二郎さん。「この春からチーフに昇格したんです。」とうれしそうでした。
山田さんのご案内により、数々のヤバい新作シマザキフライが次から次へと登場。どんな生き物にも似ていないのに、生き物よりも生き物っぽい。フライの範疇を超えたアートワークです。
山田さんに編集部が質問しました。懸案の[シマザキフライズ Shimazaki Flies]は、いつになったら私たちの前にお目見えするのでしょうか。読者さんから問い合わせされても答えられなくて困ってます。
(山田さん)「ああはい。わかってます。すごいことになってますよ。すごいことになりすぎて、計画が後ろ倒しで申し訳ないです。その分今までのフライタイイングがひっくり返る内容になりますよ。フライの雑誌さんが困ってますよ、とシマザキにはよーく言っておきます。なにしろわたしはチーフアシスタントなんで。うふふ。」とのこと。
この日バックファイヤーダンをホットワックス加工した新バージョンを見せていただきました。見た瞬間、「あ、〇〇の××が違う。」と、同行の井上逸郎さんがスーパーマニアックな突っ込み。
山田さんがたじろいだように見えたのは幻覚でしょうか。

⑤ 近藤昭一議員が「西湖」も「遊漁料」も読めずに、国会で質問

4月22日の衆議院環境委員会で、近藤昭一衆議院議員(愛知3区・立憲民主党)が、ブラックバスの漁業権に関する質問を行ないました。ところが山梨県の西湖を「にしこ」、遊漁料を「ゆうりょりょう」と盛大に誤読。国会の公式動画に記録されています。(1:42:00から)
直後に答弁した水産庁の高瀬審議官が、「さいこ!」と訂正しましたが当人はスルー。自分で何も調べていないのにエラそうに質問したことがバレバレです。
近藤議員には国政の場で、漁業も釣りも外来種〝でんでん〟も、いっさい語る資格はありません。政治家が大切な釣りに土足で上がり込んできて、知ったかぶりで騒ぐのが、あたしゃどうしても許せないんです。

⑥ 『栃木を釣る』

本誌前号で速報した下野新聞社発行『栃木を釣る:日光の湖から近場の管理釣り場まで』(監修:大木孝威)の続報。中禅寺湖の伝説の巨大魚「カンブルックス」についての渾身のレポートは必読。この記事だけでも本にして後世に残す価値がある。
中禅寺湖初心者さんの夢がふくらむポイントマップも見事。と言っても、いわゆるよくある「ここからこうしろ。」的なおせっかい解説ではないのでご安心を。

⑦ 作りたい本を作れる時代

技術の進歩で出版は身近になりました。デジタル全盛時代に逆行するかのように、個性的なインディーズ系の出版物が続々と登場しています。
とあるトップウォータープラグメーカーへの溢れる想いをユーザが形にした豪華本『DELIGHT』、長野県下伊那に生きた川漁師である父の人生を記録した『大嵐の仙人』、〝超個人的かつ多様な釣りの話をラインアップ〟した同人誌『OFF THE HOOK』はそんな魅力的な出版物です。
本はいったん作り手の手を離れると、四方八方へと飛び散り、本人が予想もつかなかった展開を連れてきてくれます。
本づくりの素人さんが、手弁当で作った本を書店から広く一般に流通する。プロの出版社がクラウドファンディングでお金を集め、予約限定でクローズドに直送する。何でもありの自由でアナーキーな面白い時代です。弊社もがんばります。

⑧ 全国サクラマスサミット

「河口で採捕され採卵前に死んでしまった多数のサクラマスも含め、各支流で自然産卵が行われれば、稚魚の量は人工ふ化の何十倍にもなると考えられる。」(『桜鱒の棲む川』水口憲哉 2010)。──サクラマスの人工ふ化放流一辺倒を改めるべきとの本書での指摘は、水産界隈から黙殺されてきました。
が、サケ・マス回帰数の減衰により状況が変化。4月1日に開かれた「全国サクラマスサミット2022 in米代川」では水産研究者から増殖方針の転換の提言が行われました。
ダム建設などとの引き換えによる魚の種苗放流、サケ・マスふ化放流事業そのものの見直しにもつながります。議論すら許されなかったのが背に腹は代えられないほど状況が厳しくなったとも言えます。まだ間に合うはずです。

⑨ よく釣るためのコツ

写真は小菅川でのi師匠の釣り姿。管理釣り場でもリリース釣り場でも、これくらい水辺から離れるだけで、釣果が大きく変わります。キャスティングとラインさばきの技術が前提です。鍛錬あるのみです。

⑩ 業界系はお行儀よく

今春、関東の人気の湖でものすごい雨の日、フライ業界の若手フライフィッシャー2名とお連れのスタッフさんたち合計4名様からこんなことされたよ、と読者さんから報告あり。二度と関わりたくないっていう被害者さんの言葉通りの完全なマナー違反でした。
業界系釣り師の不都合な目撃談、直接的な被害情報は、編集部には立場上よく耳に入ってきます。業界系であればあるほどルールとマナーを守って普通に釣りしましょう。好事は門を出でず、悪事はあっというまに千里を走ります。

⑪ 東京都檜原村秋川上流へ大規模産業廃棄物焼却場の建設計画

多摩川支流、南秋川支流の森沢は高校生のときバスに乗ってヤマメを釣りに行きました。水がきれいで有名な沢です。この森沢沿いに24時間稼働の産業廃棄物焼却場が計画されています。地域住民から反対決議が出されています。村議会へ反対の請願、都知事・都庁への直接行動も実施されています。要注目。

⑫ 日本釣振興会が創立50周年

6月14日、都内帝国ホテルにて、公益財団法人・日本釣振興会創立50周年式典が執り行われました。コロナ禍による度重なる延期を乗り越え、業種や立場を超えた200名以上の釣り関係者が参集して大盛況でした。
日本釣振興会は〝魚族資源の保護増殖、釣り場環境の整備保全、釣りに関する知識の普及、啓発時に必要な事業を行うことにより、レクリエーションとしての釣りの健全な振興を図り、もって明るい豊かな社会形成に寄与することを目的と〟し、〝一般の釣り人や、釣具店・メーカー及び釣り関係団体等が会員になり、会員の会費や寄附で運営され、釣りの健全な振興を図るための事業活動を〟行う組織です。主な活動は、放流事業、水辺環境美化保全事業、釣教育・釣振興事業、釣りマナーと安全対策の啓発事業など。
「釣り人がそれぞれ好きだ・嫌いだ言ってたら、まとまるものもまとまりませんよ。ははは。」
日釣振の立ち上げに深く関わった、天龍・塩澤美芳会長の言葉です。
当日の式典には国会議員を中心に構成された超党派の釣魚議員連盟の人々が多数出席。よりよい釣りの未来のために働いてもらいましょう。

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フライの雑誌 125(2022夏秋号)
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Flyfishing with kids.
一緒に楽しむためのコツとお約束

子供と大人が一緒にフライフィッシングを楽しむためのコツとお約束を、子供と大人で一緒に考えました。お互いが幸せになれるように、子供が子供でいられる時間は本当に短いから。
子供からの声(10〜12歳)|大人からの声|水産庁からの声|子供と遊ぶための道具と技術と心がまえ|釣り人の家族計画|イギリスの場合|「子供釣り場」の魅力と政策性
特別企画◎シマザキワールド16 島崎憲司郎 
座談会「みんなで語ろう、ゲーリー・ラフォンテーン」
そして〈シマザキフライズ〉へ
ちっちゃいフライリールが好きなんだ|現役で使えるグリーンハート製ロッド大集合!|湯川の娘 知来要|カワムツはいつ、どこから来たか|海女のゆく末|メガソーラーの問題点
水口憲哉|中馬達雄|川本勉|斉藤ユキオ|カブラー斉藤|大木孝威|荻原魚雷|樋口明雄|島崎憲司郎

 

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2022年7月発売・第125号から直送 [フライの雑誌-直送便]

 『フライの雑誌』の新しい号が出るごとにお手元へ直送します。差し込みの読者ハガキ(料金受け取り人払い)、お電話(042-843-0667)、ファクス(042-843-0668)、インターネットで受け付けます。

身近で楽しい! オイカワ/カワムツのフライフィッシング ハンドブック 増補第二版(フライの雑誌・編集部編)

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「離島の釣りはバクチです。バクチは楽しい。」(中馬達雄名言)

フライの雑誌-第122号|特集◉はじめてのフライフィッシング1 First Fly Fishing 〈フライの雑誌〉式フライフィッシング入門。楽しい底なし沼のほとりへご案内します|初公開 ホットワックス・マイナーテクニック Hot Wax Minor Technics 島崎憲司郎+山田二郎 表紙:斉藤ユキオ

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水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW

特集◉3、4、5月は春祭り 北海道から沖縄まで、毎年楽しみな春の釣りと、その時使うフライ ずっと春だったらいいのに!|『イワナをもっと増やしたい!』から15年 中村智幸さんインタビュー|島崎憲司郎さんのスタジオから|3、4、5月に欠かせない釣りと、その時使うフライパターン一挙掲載!
フライの雑誌』第124号

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文壇に異色の新星!
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真柄慎一 =著

装画 いましろたかし
解説 荻原魚雷

桜鱒の棲む川―サクラマスよ、故郷の川をのぼれ! (水口憲哉2010)