『フライの雑誌』第61号(2003年)掲載、「〈皇居お濠のかいぼり作戦〉はヘンだ 外来魚報道のバカバカしい中身に呆れる。」(小柳健太郎)を公開します。特定外来生物法の施行前夜、国内のメディアが足並み揃えて外来種バッシングへ邁進していた頃の記録です。
当時から現在に至るまで、こと外来種に関して、このような筋の通らないドタバタの度合いは、年を追うごとに増しています。
先日の井の頭公園池のかいぼりでは、キンギョやヒメダカ、色つきのコイは殺し、黒いコイ、琵琶湖原産のゲンゴロウブナは保護していました。在来種の保全がかいぼりの目的の一つだそうですから、どう考えても筋が通りません。
「外来種を排斥しよう!」と大きな声を張り上げる街宣車が走り回る当世では、ヘンなことをヘンだと指摘することさえ、憚られるような雰囲気があります。
二次自然や改変自然での生態系は人為とは切り離せません。多面的な視点と価値観からの議論が必要です。