●今日は『フライの雑誌』でもこれまでしつこくとりあげてきている、東京都奥多摩川の毎年恒例の解禁日です。渓流解禁というと、一般メディアでは「腕に自信の太公望達が春まだ浅き渓流で銀鱗を追い…」と語るのが常ですが(そうかな?)、奥多摩川の場合、魚たちは昨夜長野や山梨の養魚場から活魚車で拉致られ、早朝7時に釣り人が待ち受ける各ポイントへバケツでどぼどぼと放流されており、風情もへったくれもないのが実情です。
●上流のダムから大量に流されるシルトと砂のおかげで、そしてそれを補償金とひきかえに受け入れ続ける管理者のおかげで、年を追うごとに浅く貧しくなり果てる奥多摩川のほとりを歩きました。
●すでにこの川では自然産卵によるたくさんの魚影は望むべくもありません。流行の生物多様性というお題目の薄っぺらさがこの川ではよく分かります。外来種新法ではニジマスを外来種だからという理由で「要注意生物」だとしていますが、奥多摩川ではそのニジマスも在来とされるヤマメも、解禁から長くは生き残れません。
●次々と抜き上げられていく魚たちを横目に見つつ、じゃあこの奥多摩川という壮大なスケールの都市河川を、もっと魅力的な「釣り堀」にするためには誰がなにをどうすればいいのかと考えます。