「忙中閑あり、けっこうですな。」

先週の日曜日、単行本『桜鱒の棲む川』執筆追い込み中の水口憲哉先生から、私の携帯へお電話をいただいた。緊急の用件があったようだったが、ちょうどそのとき私は芦ノ湖の桟橋の上でニジマスを釣って喜んでいた。

おそるおそる自分の現状をお伝えすると、
「いや、これは失礼しました。忙中閑あり、けっこうですな。」
と、とても寛大だった。

今週の日曜日、つまり昨日、取引先サンスイの担当者さんから、私の携帯へお電話をいただいた。緊急の注文があったようだったが、ちょうどそのとき私は河口湖のボートの上でワカサギを釣って喜んでいた。

おそるおそる自分の現状をお伝えすると、
「いや、これは失礼しました。楽しんでください。」
と、とても寛大だった。

みなさん理解があってありがたい。

今週の月曜日、つまり今日は、山梨県桂川の解禁日だ。4月を過ぎるとバージンの尺ヤマメはいなくなるほどの激戦区桂川で(「桂の尺はワカランです」第86号座談会参照)、ゆいいつ3月1日の解禁日は誰にでもかんたんに尺ヤマメが釣れる特定日だという。当然私は出かける。

明日はどなたから携帯に電話がかかってくるだろうかと、おそろしくもありすこし楽しみでもある。寛大な皆さんに甘えてばかりでたいへんに申し訳ない。心から本当にそう思っている。

しかし私の人生だ。

河口湖ではニジマスも釣ってしまった。