環境省による「特定外来生物の指定対象等に係るパブリックコメントの意見の理由と対応の考え方」が公表されました。オオクチバスに関する意見は10万7815件、選定反対9万5620件、賛成1万2195件でした。ここに掲載されている<国民の皆様からいただいたご意見と、それに対する環境省の対応と考え方>のなかで、象徴的なのはここらあたりではないでしょうか。
http://www.env.go.jp/info/iken/result/h170302b/r02.html
▼意見:水辺を護岸工事によりコンクリートで固めたことや、水質汚濁、農薬の流入、周辺の森林伐採など湖沼の環境悪化が在来魚が減少した主たる原因。コイなどの在来魚や他の外来魚の捕食なども考えられる。オオクチバスが原因ではない。むしろバスは減少している。防除よりもこれらの自然を取り戻すことのほうが優先なので選定に反対。
■環境省の答え:本法は生態系等に係る被害防止を第一義に特定外来生物を選定することとしています。オオクチバスは専門家会合の検討において、生態系に被害を及ぼすものとして評価されています。オオクチバス以外の要因が存在するか否かにより、その結論が変わるものではないと考えられます。
環境省は「水質汚濁、農薬の流入、周辺の森林伐採など湖沼の環境悪化」の改善に対してまったくやる気がなく、とにかくオオクチバスを悪玉にしたい方針のようです。ここまであからさまにしなくともいいんじゃないか、という気すらします。
▼意見:オオクチバスの専門家会合では、指定を見送る方向であったのに、環境大臣の発言で、指定が決まるのはおかしい。民主主義に反する。
■環境省の答え:専門家会合は、専門家の立場から検討を行い、指定対象とすることが適切との結論に至ったものです。
今回のパブコメまとめでは環境省の拠り所として「専門家会合」で検討されたから、という言葉が頻発しています。ところが、その「専門家の立場からの検討」の内実はこんなのです。第3回 特定外来生物等分類群グループ会合(魚類)–オオクチバス小グループ会合 議事録より(2005.1.17)
http://www.env.go.jp/nature/intro/sentei/fin_bass03/indexb.html
【水口委員】 わかりました。それは環境省のお考えだし、この委員会及びこの法に対する対応を説明されたわけですね。それと魚類学会とは別なんです。魚類学会は研究者のあれですから、行政対応の世界じゃないんです。ですから「生態系」という言葉は一応この環境省が出している多紀さんが座長でやっているこの報告書に書いてあることと全く矛盾するんだけど、それをどうお考えですかと聞いているのに、これは関係ないというか、根拠がないとかで。根拠はこの本の中に全部載っています。
【多紀座長】 じゃあ、時間もありますので、それは、じゃあ、後でやってください。だって、こればかりで……。
【水口委員】 そういうことじゃ、大事なことじゃないですか、生態系に被害を与えるという定義は。
【多紀座長】 いや、ですからそれは魚類学会と水口委員との話であって。
【水口委員】 そんなことないですよ。そういう話じゃないでしょう。だって、法律にとって大事なことじゃないですか、生態系……。
【多紀座長】 いやいや、ですから法律は今企画官がおっしゃったように読むんだということですよ。
【水口委員】 じゃあ、魚類学会も環境省の……。
【多紀座長】 いや、だからここは魚類学会じゃないんだから。
【水口委員】 発言者の責任の問題じゃないですか。
【多紀座長】 いやいや、ですから、それは後で魚類学会とあなたとやってくださいよ。
【水口委員】 そういう話じゃないって。
【多紀座長】 では座長裁定で、これで終わります。
【水口委員】 研究者の討論でそうなるわけですね。
【多紀座長】 研究者でなくても何でも結構ですから。座長裁定。
『フライの雑誌』次号第69号(5/20発行)の連載「釣り場時評」(水口憲哉)では、この間の外来種新法にまつわる、マスメディアで報道されない本当のウラ事情と、最新情況を掲載します。また、小社刊『魔魚狩り-ブラックバスはなぜ殺されるのか』へ寄せていただいたたくさんの声を、併せて掲載します。
それにしても、95620通の意見をたった34通にまとめきっちゃうなんて環境省は編集上手です。
2005/4/10 at 21:18
パブコメ結果発表
4月5日に環境省から 「特定外来生物等の選定に係る意見募集(パブリックコメント)
2005/4/12 at 16:45
外来生物パブコメ結果
ここのところ腰痛でなにもできないでいたが この記事はUPしなければと…(腰ガクガ
2005/4/17 at 02:40
バサー&バス業界の皆さんへ
ある2人のバス釣り人が今後の在り方について考えておられます。
ぜひ読んで意見をぶつけてみよう。
(お二人の勇気ある発言に敬意を表します)
http://haluna.at.webry.info/200504/article_5.html
http://blog.livedoor.jp/phantom3xv/archives/19017142.html..