【特別公開】「Radical Bamboo Rod Builders ラジカル・バンブーロッド・ビルダーズ」全ビルダー

世界は今、バンブーロッドの黄金期にある。バンブーロッドは常に革新をつづけている。

「Radical Bamboo Rod Builders」(本誌第91号から第101号)は、まさに現在進行形でラジカルな試みを発表している北米、ヨーロッパなどのバンブーロッド・ビルダーたちを一人一人とりあげ、そのロッドと人となりを紹介するドキュメントだ。

幅広い読者から注目を集めたこの「Radical Bamboo Rod Builders」シリーズは、フライの雑誌社とホワイトフィッシュ・プレスとの提携による初の単行本、「バンブーロッド教書」刊行のきっかけとなった。

筆者は、米国の大学で釣り具の歴史学の教鞭をとるTodd E. Arai Larson氏。トッド氏は、ユニークな活動で評価の高い出版社ホワイトフィッシュ・プレスの主宰者でもある。翻訳は「シェフのフライロッドの世界」主宰の翻訳家、永野竜樹氏。ご存じ「バンブーロッド教書」の編著者である。

過日メールを整理していて、連載終了時に編集部(堀内)からトッド氏へ送った、お礼と感想のメールが出てきた。読み返してみると面白い。「Radical Bamboo Rod Builders」のあらためての紹介にもなるかと思う。そこで少し整理して各掲載号の写真とともに、本欄で公開することにした。もちろん実際は、永野氏に英訳の労をとっていただいた上で、トッド氏へ送ったことを申し添えたい。

これを読んでバンブーロッドの奥深い世界へ興味をもってくださり、本誌バックナンバーで「Radical Bamboo Rod Builders」の各記事を、そして単行本『バンブーロッド教書』を手にとってくださる方が増えることを祈ります。

トッド氏、永野氏の黄金コンビは、現在『フライの雑誌』誌上で「グラスロッドの巨匠たち  Masters of Glass」を連載中。最新第5回目は次号第106号に掲載。こちらもお楽しみに。

第91号 マーク・アロナー Mark Aroner  神の贈り物を受け取った苦労人  トム・マックスウェルの晩年の写真はとても貴重なものだった。このような写真を記録して残すことも雑誌の役割だ。日本のバンブーロッド・マニアからもこの写真への評価は高かった。
第91号 マーク・アロナー Mark Aroner マーク・アロナー  神の贈り物を受け取った苦労人  トム・マックスウェルの晩年の写真はとても貴重なものだった。このような写真を記録して残すことも雑誌の役割だ。日本のバンブーロッド・マニアからもこの写真への評価は高かった。
第92号 ジェフ・ハットン  Jeff Hatton 伝統と最先端を操る掟破り  モーティス・グリップを通じて日米のビルダーでの交歓が行われているのは楽しいことだ。
第92号 ジェフ・ハットン  Jeff Hatton ─ 伝統と最先端を操る掟破り  モーティス・グリップを通じて日米のビルダーでの交歓が行われているのは楽しいことだ。
第93号 ウェイン・マカ Wayne Maca  孤高で過激なバンブーロッド界の革命家  『フライの雑誌』は既成概念にとらわれないフライフィッシングの楽しみ方を提唱している。マカのオリジナリティは読者にも衝撃的だったようだ。この頃からバンブーロッドを「自由度の高さ」において再評価する動きが芽生えてきたようだ。読者から「私はバンブーロッドを持っている訳でもなく、思い入れもありませんが、ウェイン・マカのような記事はとても面白いし、フライフィッシングの興味深さが表れていると感じます」という感想をもらった。『フライの雑誌』の記事は、情報としての新しさ、興味深さと同程度に、読み物としての普遍的な価値があるかどうかを重視している。その点で本記事は編集部としてもとてもうれしいものだ。2011年3月に日本はたいへんな災害に見舞われた。フライフィッシングがその災厄を乗り越えるよすがになったことを、被災地から届いた読者からのカードで知った。
第93号 ウェイン・マカ Wayne Maca  孤高で過激なバンブーロッド界の革命家  『フライの雑誌』は既成概念にとらわれないフライフィッシングの楽しみ方を提唱している。マカのオリジナリティは読者にも衝撃的だったようだ。本記事掲載の頃から、バンブーロッドを「自由度の高さ」において再評価する動きが芽生えてきたようだ。読者から「私はバンブーロッドを持っている訳でもなく、思い入れもありませんが、ウェイン・マカのような記事はとても面白いし、フライフィッシングの興味深さが表れていると感じます」という感想をもらった。『フライの雑誌』の記事は、情報としての新しさ、興味深さと同程度に、読み物としての普遍的な価値があるかどうかを重視している。その点で本記事は編集部としてもとてもうれしいものだ。2011年3月に日本はたいへんな災害に見舞われた。フライフィッシングがその災厄を乗り越えるよすがになったことを、被災地から届いた読者からのカードで知った。
第94号 A.J. スレーマー A.J. Thramer 信念のブルーカラー・ロッドメーカー  わたしの場合、バンブーロッドを始めとしたハンドメイド品を購入するときは、それぞれの作り手へ個人的に魅力を感じるかどうかが、判断基準の第一歩になる。モノへの社会的・歴史的評価とは関係なく、ビルダーさんに魅力を感じれば、その品物を欲しいと思う。スレーマーさんのつくるバンブーロッドを「ぜひ欲しい」と思った。
第94号 A.J. スレーマー A.J. Thramer 信念のブルーカラー・ロッドメーカー  わたしの場合、バンブーロッドを始めとしたハンドメイド品を購入するときは、それぞれの作り手へ個人的に魅力を感じるかどうかが、判断基準の第一歩になる。モノへの社会的・歴史的評価とは関係なく、ビルダーさんに魅力を感じれば、その品物を欲しいと思う。スレーマーさんのつくるバンブーロッドを「ぜひ欲しい」と思った。
第95号 ロブ・スミス  Rob Smith どこにもない五角を生んだ若き前衛  この記事を読んでペンタラックスを注文した日本人フライフィッシャーを2人知っている。後日、そのうちの一本に触れさせてもらった。ナンダコレハ、の一本であった。まさに「どこにもない五角ロッド」にうそいつわりのないロッドであった。
第95号 ロブ・スミス  Rob Smith どこにもない五角を生んだ若き前衛  この記事を読んでペンタラックスを注文した日本人フライフィッシャーを2人知っている。後日、そのうちの一本に触れさせてもらった。ナンダコレハ、の一本であった。まさに「どこにもない五角ロッド」にうそいつわりのないロッドであった。
第96号 ティム・アボット Tim Abbott 精緻とラジカルを追求するエンジニア  ある日編集部に未知の読者から電話があり、アボットの竿を欲しいのだが連絡先を教えてほしいとのこと。スーツケース入りのモデルを本当は欲しいのだが、高価なので別モデルを注文すると言っていた。届いたら見せてもらうことになっている。
第96号 ティム・アボット Tim Abbott 精緻とラジカルを追求するエンジニア  ある日編集部に読者から電話があった。アボットの竿を欲しいのだが連絡先を教えてほしいとのこと。スーツケース入り(!)のモデルを欲しいと言っていた。うらやましかった。
第97号 ボブ・クレイ  Bob Clay キング・オブ・バンブー・スペイロッド  この記事を読んで、ふるい知り合いの読者が久しぶりに連絡をくれたのがうれしかった。20年程前にキスピオックス川でスティールヘッド釣りをしたことがあると言っていた。バンブーロッドは釣り人同士をつなげてくれる。『バンブーロッド教書』のキャッチフレーズ「現代はバンブーロッドの黄金期である」は、本記事におけるクレイさんの発言が着想のきっかけになった。
第97号 ボブ・クレイ  Bob Clay キング・オブ・バンブー・スペイロッド  この記事を読んで、ふるい知り合いの読者が久しぶりに連絡をくれたのがうれしかった。20年程前にキスピオックス川でスティールヘッド釣りをしたことがあると言っていた。バンブーロッドは釣り人同士をつなげてくれる。『バンブーロッド教書』のキャッチフレーズ「現代はバンブーロッドの黄金期である」は、本記事におけるクレイさんの発言が着想のきっかけになった。
第98号 カート・ザンブラン  Kurt Zumbrunn どん欲なスイスの天才職人  この記事を翻訳して、自分でザンブランの竿を注文してしまった翻訳家を知っている。届いた竿を見せてもらったが、ザンブランの竿のもつ迫力は、本当にすばらしいものがある。本稿はスイス語を間に入れての原稿だったと記憶しているが、文章の読みやすさは光っていた。独創性の高いロッドを解説するための「図」も充分だった。雑誌には文章と同じくらい写真や図などのビジュアルが重要だ。
第98号 カート・ザンブラン  Kurt Zumbrunn どん欲なスイスの天才職人  この記事を翻訳して、自分でザンブランの竿を注文してしまった翻訳家を知っている。届いた竿を見せてもらったが、ザンブランの竿のもつ迫力は、本当にすばらしいものがある。本稿はスイス語を間に入れての原稿だったと記憶しているが、文章の読みやすさは光っていた。独創性の高いロッドを解説するための「図」も充分だった。印象的な誌面作りには文章と同じくらい写真や図などのビジュアルが重要だ。
第99号 スパイラルロッドとブレイデッドロッド A Old Twist on Cane  本稿はドクター・トッド自身の手による論考だった。情報がひじょうに整理されており、読みやすく、貴重な原稿となった。思うに、バンブーロッドに限らず、フライフィッシングについて語る記事には、大きく二方向のアプローチがある。ひとつは、本稿のように、知られざる情報や新しくユニークな技術などを紹介するもの。もうひとつは、たとえばバンブーロッド・ビルダーの個性に着目して、その人となりを文学的に掘り下げるもの。後者は、第101号のジョー・アルグエッロの記事がまさにそれにあたる。
第99号 スパイラルロッドとブレイデッドロッド A Old Twist on Cane  本稿はドクター・トッド自身の手による論考だった。情報がひじょうに整理されており、読みやすく、貴重な原稿となった。思うに、バンブーロッドに限らず、フライフィッシングについて語る記事には、大きく二方向のアプローチがある。ひとつは、本稿のように、知られざる情報や新しくユニークな技術などを紹介するもの。もうひとつは、たとえばバンブーロッド・ビルダーの個性に着目して、その人となりを文学的に掘り下げるもの。後者は、第101号のジョー・アルグエッロの記事がまさにそれにあたる。
第100号 タイクーン・ロッド(スパイラルロッド) 現代に復活! ラミネート構造のバンブーロッド TYCOON Rod  前号にひきつづき、ドクター・トッドの論考だった。これもまたとても読みやすく、フライフィッシングをより深く楽しむための知識としてうれしい原稿だった。Dr.トッドの本領発揮だった。
第100号 タイクーン・ロッド(スパイラルロッド) 現代に復活! ラミネート構造のバンブーロッド Tycoon Rod  前号にひきつづき、ドクター・トッドの手による独創的な論考だった。これもまたとても読みやすく、フライフィッシングをより深く楽しむための知識としてすばらしい原稿だった。
第101号 ジョー・アルグエッロ Joe Arguello ラジカルな完璧主義者  じつは91号以降つづけてきてもらった本連載のなかで、この101号のアルグエッロ氏の回が、個人的にはもっとも素晴らしかったと思っている。その理由は、第一に、アルグエッロ氏自身のフラットなパーソナリティが魅力的で、『フライの雑誌』の編集部および読者の指向性に寄り添ったものであったこと。第二に、文章に「ツヤ」があったこと。それはおそらく、書き手のドクター・トッド自身の「人となり」が、この文章に出ていたからだろうと思う。てらいのない、素直な文章だった。Dr.トッドに親しみを覚えた読者も多かっただろう。
第101号 ジョー・アルグエッロ Joe Arguello ラジカルな完璧主義者  じつは91号以降つづけてきてもらった本連載のなかで、この101号のアルグエッロ氏の回が、個人的にはもっとも素晴らしかったと思っている。その理由は、第一に、アルグエッロ氏自身のフラットなパーソナリティが魅力的で、『フライの雑誌』の編集部および読者の指向性に寄り添ったものであったこと。第二に、文章に「ツヤ」があったこと。それは書き手のドクター・トッドの「人となり」が文章に出ていたからだろうと思う。てらいのない素直な文章だった。Dr.トッド自身に親しみを覚えた読者も多かっただろう。・・・・・・・・トッドさんへ: これまで3年にわたって「Radical Bamboo Rod Builders」を連載してきてくれたことに、深く感謝している。この3年間で日本のフライフィッシング事情、とりわけバンブーロッド事情は大きくかわった。本誌以外のフライフィッシング雑誌が、いままでとりあげたことのないバンブーロッド特集を組むようになったことにも、それは現れている。「Radical Bamboo Rod Builders」は、日本のフライフィッシング文化の扉をひとつ開いてくれた。Dr.トッド、永野竜樹さんと知り合わなければ、『バンブーロッド教書』は上梓できなかった。『バンブーロッド教書』はこの先日本で50年間は読み継がれる本になるはずだ。(『フライの雑誌』編集部・堀内 Masanori Horiuchi
Furai-No-Zasshi editor in chief)
竹の国の釣り人たちへ。 バンブーロッドを知る。バンブーロッドで釣る。 永野竜樹 =訳 フライの雑誌社 =編 バンブーロッド教書 Understanding & Fishing the Bamboo Fly Rod[The Cracker Barrel] A5判 272頁(内、カラーグラビア16ページ) 本体価格3,619円+税〈2013年12月20日発行〉 ISBN 978-4-939003-57-8
竹の国の釣り人たちへ。
バンブーロッドを知る。バンブーロッドで釣る。
永野竜樹 =訳 フライの雑誌社 =編
バンブーロッド教書
Understanding & Fishing the Bamboo Fly Rod[The Cracker Barrel]
A5判 272頁(内、カラーグラビア16ページ)
本体価格3,619円+税〈2013年12月20日発行〉
ISBN 978-4-939003-57-8
バンブーロッド教書[The Cracker Barrel] 竹の国の釣り人たちへ。 バンブーロッドを知る。バンブーロッドで釣る。 永野竜樹 =訳 フライの雑誌社 =編
バンブーロッド教書[The Cracker Barrel]
竹の国の釣り人たちへ。
バンブーロッドを知る。バンブーロッドで釣る。
永野竜樹 =訳 フライの雑誌社 =編