元気な漁村
海を守り、にぎやかに暮らす
水口憲哉=著
子どものにぎわいと相互扶助で見通す、漁村の未来
魚が減った、漁業は大変だ、水産業の先行きはない、と言われている。これは間違っている。
全国の元気な漁村には元気な理由(わけ)がある。
水口憲哉
Kenya Mizuguchi
東京海洋大学名誉教授
【2025年1月発行】
ネット書店で取扱中
漁村と水産の未来を開く一冊です。
本書で取り上げる漁業センサスでの漁業地区、すなわち漁村の多くは、自然村そのものである。江戸時代から〝元気な漁村〟のまとまりは変わっていない。
変化する漁村の中に、昔からあると言われている変わらないものとしての、相互扶助の働きを考える。
しかもそれを個人史ではなく、漁村の歴史として、村落共同体の中に分け入るという、未経験のことをやる。(水口憲哉)
子どものにぎわいと相互扶助をキーワードに、全国の漁村の未来を見通す。海と魚と人の処方箋を探る。類書なし。
本体価格:2,200円(2,000円+税)
発売日:2025年1月
ISBN:978-4-939003-98-1
四六判 192頁
水口憲哉さんの単行本『元気な漁村』を出版します。水口先生ははっきり言ってあちこちに正面衝突しすぎ。でもその先見性と一貫した姿勢には全面的な信頼があります。大事なのはあきらめないこと。未来を開く一冊です。
(「フライの雑誌」132号 112頁)
内容紹介
元気な漁村 海を守り、にぎやかに暮らす
【目次】
はじめに 002
目次 004
本書に関連する主な地名の位置 008
Ⅰ 共に生きる知恵
1 元気な漁村 村張りの定置網、養沢毛鉤専用釣場 010
2 共同組合はかっこいい 助け合いとつながりで時代を乗りきる 018
3 漁村の相互扶助、その実例 均等配分と寄付で成り立つ仕組み 027
4 先住民の知恵 アメリカ先住民、アイヌの人々の資源利用と漁業制度 035
Ⅱ 元気な実例
子どものにぎわいとは? 044
(表)各都道府県での子どものにぎわい一位の漁村 045
5 アイヌとサケ漁 北海道・石狩市の三つの漁村 046
6 小笠原の漁業の夢 父島と母島の新しい漁業 054
7 若さの理由 富山県・岩瀬の元気なエネルギー 063
8 山口県の三つの離島 自立する浮島、角島、祝島 071
9 共同体が子どもを育てる 高知県・南国市久枝の不思議 078
10 福岡藩とベッドタウン 福岡県・糸島市がにぎわう理由 084
11 奥武島の再生 米軍基地と沖縄の貧困を考える 090
Ⅲ しぶとく確かな生き方
12 沖縄と子どものにぎわい お金ではできない少子化対策 100
13 漁場破壊に立ち向かう 岩手県・宮古市重茂、陸前高田市米崎 108
14 相互扶助の経済 尊徳仕法──協同組合を中心とした連帯 114
15 各地の共同経営 北海道、兵庫、瀬戸内、沖縄の事例 120
16 漁場を守れば 島根県・宍道湖のシジミ漁 128
17 元気な島の元気な漁村 伊豆七島・利島、御蔵島、沖縄県・渡嘉敷島をめぐって 136
18 海を活かしてにぎやかに暮らす 三浦半島・松輪の漁業と釣り 144
19 神津島が元気な理由 過疎と少子化に抗する東京都・神津島 155
20 初島の行き方 静岡県・熱海市初島の観光 163
21 何百年も変わらない未来へ 青森県・下北郡東通村尻屋と共同体の明日 170
Ⅳ 一〇〇年後の漁村へ
共同体の力 179
共同組合と相互扶助 180
生き心地のいい社会 182
島の暮らしと新住民 183
資源維持について 185
根拠地としての漁村 187
変わっていく世の中で 188
引用文献一覧 190-191
※子どものにぎわいとは 15歳以上の人数に対する、0〜14歳の子どもの割合。本書では、その地区のにぎやかさの指標として用いている。
※漁業センサス 農林水産省実施。漁業の生産構造、就業構造、漁村、水産物流通・加工業等の漁業を取りまく実態を把握し、日本の水産行政の推進に必要な基礎資料を整備することを目的に、漁業地区すべての世帯や法人を対象に行う全国一斉の調査。1949年(昭和24年)に始まり、1954年(昭和29年)以降は5年ごとに実施。最新は2023年の第15次センサス。本書では漁業センサスの数値を分析して、日本の漁村の実情と将来の姿を見通すことを試みた。
編集:「フライの雑誌」編集部
編集発行人:堀内正徳 校正:西村亮一 印刷製本:(株)東京印書館
発行所:(有)フライの雑誌社
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