山と河が僕の仕事場2|みんなを笑顔にする仕事(牧浩之著)

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狩りと釣りで5年暮らした。
新しい職業猟師のかたちが見えてきた。

山と河が僕の仕事場 2
みんなを笑顔にする仕事

職業猟師+西洋毛鉤釣り職人
牧 浩之 =著

A5判 192頁(内、カラーグラビア16ページ)
本体価格1,600円+税 
ISBN 978-4-939003-69-1

川崎生まれの都会っ子が、妻の実家の宮崎県高原町へ、Iターン移住。
鳥獣被害対策で奔走し、獲物を毛鉤にする。
山と河の恵みで暮らす人生は、毎日が挑戦の連続だ。

話題の〈山と河が僕の仕事場〉、大注目の続篇!

【ご注意ください】 新刊『山と河が僕の仕事場2』はご注文のみの扱いとなります。各ネット書店・お近くの書店・セブンイレブン、フライの雑誌取扱店で一冊からご注文できます。「ISBN 978-4-939003-69-1」をお伝えください。

> 「Guns&Shooting」さん 「〈僕にしかできない仕事で、みんなが笑顔になってくれる。それはお金では得られない幸せの繋がりだ。〉 なんとも素敵な言葉じゃないか。」(Guns&Shooting vol.11 2017/03/18)

> 朝日新聞さん 「連載書籍化は2冊目。猟師の暮らしに重点を置き、人と野生動物の関係性などをつづっている。」(朝日新聞 2017/03/14)

> 荻原魚雷さん 「待望の続篇 とくに第三章の「家族の肖像」がよかった。読んでほしい。わたしは何度も読み返すとおもう。いい本ですよ。」(文壇高円寺 2017/03/01)

> 高原町役場さん 「明るい筆致で読みやすく、写真もとても綺麗です。一昨年に出た第1弾も大反響でしたが、今回待望の第2弾が発刊されました。」(高原町役場 2017/03/02)

驚きと喜び、涙と笑いに満ちた21世紀の「釣りと狩りの暮らし」を底抜けに明るい筆致で綴ります。続篇はさらにパワーアップ! 大興奮の新展開です。


著者紹介

牧 浩之 Hiroyuki Maki
1977年神奈川県川崎市生まれ。幼い頃からの釣り好き。2011年 妻の実家の宮崎県西諸県郡高原町へ移住。罠猟と銃猟でカモ類、キジ、キュウシュウシカ、イノシシなどを捕獲し、毛鉤の材料に加工する職業猟師+毛鉤職人。ヘビメタ猟師。

内容紹介

●結婚と同時に、神話の里・宮崎県高原町へIターン移住。河と湖で好きなフライフィッシングを追求していたら、いつのまにか[釣りと狩りを仕事にする人]になっていた。

●僕は職業猟師で、西洋毛鉤釣り(フライフィッシング)職人だ。僕にしかできない仕事で、みんなが笑顔になってくれる。それはお金では得られない幸せの繋がりだ。

●頼りにされるって、不思議な気持ちだ。
  
・・・・・・
畑は全滅、
カモは来ない、
シカも獲れない。
何とかなるさ!

山と河の恵みで暮らす人生は、
毎日が挑戦の連続だ。

・・・・・・

「はじめに」

本書は、『山と河が僕の仕事場 頼りない職業猟師+西洋毛鉤釣り職人ができるまでとこれから』の続篇です。

前作では、神奈川県から宮崎県へのIターン移住をきっかけに、大きく変化していった自分の生活を、ありのままに書きました。自己紹介を兼ねて、今に至るまでの経緯をあらためて説明します。

僕が生まれ育ったのは、神奈川県の川崎市です。自宅は川崎駅から徒歩5分の繁華街にありました。唯一の身近な自然は、自宅から自転車で15分ほどの多摩川でした。お世辞にもきれいとはいえない川でしたが、フナやハゼ、ザリガニなどが採れる、僕にとってはかけがえのない遊び場でした。

幼い頃から週末はたいてい、祖父や父と釣りや登山、虫捕りなどへ出かけていました。社会人になって行動範囲が広がると、片道数時間をかけて山梨や長野、福島などへ遠出して、渓流釣りを楽しみました。川沿いで暮らしている人々を見て、いつでも釣りができる生活をとても羨ましく思いました。

大学卒業後は、フライフィッシングに使う毛鉤(フライ)を自分で製作して販売する、専業のフライタイヤーになりました。仕事に追われる日々の中で、田舎暮らしへの憧れは強まっていきました。宮崎県への移住のきっかけとなったのは、結婚の挨拶をしに妻(当時は彼女)の実家のある高原町へお邪魔した時でした。

周囲を山に囲まれた高原町には、広々とした田んぼと畑を縫うように、いくつもの川が流れていました。妻の従兄弟の友人の髙津君に、宮崎の釣り場を案内してもらいました。海、川、湖、どこも素晴らしく、僕は一目惚れしました。それは僕が子どもの頃から夢に描いていた自然環境でした。

「ここに住んだらいつでも釣りに行ける。」

この機会を逃せば、きっと田舎暮らしは実現しない。そう思った僕は、せっかく東京に出て働いていた妻を必死に説得して、結婚とほぼ同時に高原町へIターン移住したのです。

高原町での暮らしは、思った以上に楽しいものでした。自宅から車で5分ほどの川で毎朝ニジマスやヤマメを釣り歩き、午後から仕事するという生活スタイル。巻いた毛鉤の出来映えをすぐに釣り場で試せる環境は、フライタイヤーにとって理想的でした。

僕の生活が大きく変化したのは、高原町産のキュウシュウシカの毛との出会いです。

シカの毛は毛鉤の素材として市販されていますが、全てが海外からの輸入物です。近くの湖で釣りをしていた時に、たまたま落ちていた地元のキュウシュウシカの毛を拾った僕は、驚きました。
今まで知っていたシカの毛よりも、キュウシュウシカの毛は細くてしなやかで、毛鉤に使ったら最高だったのです。

「このシカの毛をもっとたくさん欲しい。」

そうして知り合ったのが、妻のお母さんの知り合いである猟師の大形さんでした。大形さんの獲物の解体を手伝うようになり、やがて狩猟に誘われました。

「獲ることから始めれば、職人として作品に物語が生まれて面白いと思うよ。」

大形さんの言葉に心動かされ、僕は狩猟免許を取ることを決めました。都会育ちの僕にとって、今まで狩猟なんておとぎ話の世界だったのに。残念ながら、大形さんと狩猟に出ることはかないませんでした。僕が狩猟免許に合格してまもなく、大形さんは病で空へと旅立たれました。

僕は今、地元の山と河でシカやイノシシをわな猟で狙い、大形さんの形見の猟銃を担いで、カモやキジを撃つ生活を送っています。

獲物の肉は、ありがたく我が家の食卓でいただきます。ご近所やお世話になっている方にふるまうこともしょっちゅうです。獲物の毛と羽は、自分で試行錯誤して確立した方法でなめしたり、仮剥製に仕上げ、毛鉤の素材として販売します。

狩猟で普通は捨ててしまう獲物の毛と羽が、僕にとっては大切な収入源です。

釣りが好きでIターン移住したら、いつのまにか釣りと狩りが職業になっていました。高原町の有害鳥獣対策班に入ってからは通常の猟期に加え、禁猟期も鳥獣対策で山に入ります。ほぼ一年じゅう山を駆け回っています。

ニュースなどで見知っていた野生鳥獣による農林作物への被害は、実際に現場で接してみると、想像以上にひどいものでした。猟師としての自分の技術を、困っている地元の農林畜産家の方のために役立てたい。そんな思いが強くなり、地域の方と情報交換しながら、協力して被害対策に取り組んでいます。

自宅の菜園で、自家消費用の野菜を育てるのも僕の役目です。農家の方にコツを教わり、毎月何かしらの野菜を収穫できています。それも無農薬。とても贅沢なことです。獲物の肉や育てた野菜を、お世話になっている方に差し上げると、僕が作っていない野菜や、牛肉、卵といった食材を逆にもらうこともよくあります。物々交換ではないですが、気持ちのやりとりがそこにはあります。

僕はIターン移住者ですが、少し特殊なケースだと思います。移住して生活が180度変化しました。田舎暮らしはスローペースだとよく言われますが、一日が24時間では足りないほど、忙しい毎日です。

高原町では家族、地域の人々、山と河、自然、すべてが自分と繋がっています。その繋がりからいただく恵みで僕と家族の生活が成り立っています。釣りと狩りを通じて次から次へと広がっていく繋がりが、僕の最大の財産です。

人と人の間で生きていくから人間であるわけで、都会では忘れていた多くのことを、高原町の人々の温もりが思い出させてくれます。川崎では隣りに誰が住んでいるのかすらも知らなかったのですが。

前作を書いて以降も、泣いたり笑ったり、本当に様々な刺激的なことがありました。

移住当初と比べると、自分の目に見えている景色も、考え方も、暮らしに向き合う姿勢も、明らかに変わりました。

これからも変わり続けるんだと思うと、ワクワクが止まりません。 

牧 浩之

内容紹介












山と河が僕の仕事場2 みんなを笑顔にする仕事
目次

第1章|毛鉤釣り職人は楽しい! 014
春が来た 016
カモの羽根を使った毛鉤製作の一例 023
COLUMN 01 フライフィッシングを仕事にする 024
高原ニジマス 028

第2章|4年目の猟期 036
COLUMN 02 職業猟師の猟法について(獣を獲る) 038
狙って獲りたい 040
奇跡のイノシシ 048
COLUMN 03 西と東の食文化 057

第3章|家族の肖像 058
筏の上で 060
畑に立つ 068
COLUMN 04 職業猟師の猟法について(鳥を獲る) 073
会えてよかった 074
COLUMN 05 嫁さんの好きなもの 080

グラビア 畑とキノコとミツバチと 081

第4章|今度は畑を始める 088
庭を引き継ぐ 090
失敗、また失敗 104
COLUMN 06 カモ猟は職業猟師の屋台骨 108

第5章|新しい猟師のかたち 110
不猟に苦しむ 112
COLUMN 07 猟具とメンテナンス 122
有害鳥獣捕獲班に入る 124
COLUMN 08 職業猟師の猟法について(網で獲る) 132

グラビア 田舎暮らしはいそがしい! 133
COLUMN 09 簡単&おいしい猟師料理を教えます 141

第6章|みんなを笑顔にする仕事 142
釣りのおじさん 144
COLUMN 10 猟期中の一日はこんな感じ 149
自分が誰かの役に立つ 150
先輩猟師の技に学ぶ 156
鬼嫁と呼ばれて 161
狩りの引き出し 166
イノシシ2頭獲り 174

第7章|自然の声を聞きながら 178
僕にしかできない仕事がある 180

あとがき 189

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