フライの雑誌-第40号

フライの雑誌第40号
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フライの雑誌特集釣り人の職業、そのメリットとデメリット

隣の芝生はほんとうに美しいか…

税込価格1,250円


INDEX

008 特集◎釣り人の職業、そのメリットとデメリット 隣の芝生は本当に美しいか… 編集部 西山徹 鈴木俊一 草柳隆 早津茂 野中角宏 望月清己 飛鳥勇介 益子和樹 山本聡 天谷龍夫 川野信之 鈴木達也 編集部
034 アメリカの竹竿職人たち マーク・アロナー 阪東幸成
046 隣人のフライボックス 斉藤良文さんのフライボックス 編集部
055 そして私は、釣りガイドを辞めた トラウトバム(鱒乞食) 斉藤完治
058 川でサケをとるということ 茨城県那珂川の伝統漁法によるサケ漁 中野正貴
062 優しき水辺 斉藤幸夫
065 日本釣り場論 トラウト・フォーラムの現在 中沢孝
074 釣り場時評 釣りと仕事の関係について考える 水口憲哉
076 浪速節だよ人生は わが職業はフライタイヤー 備前貢
080 お世話になった皆様へ 浅野真一郎
082 フォト紀行 秋の記憶の断片 角敬裕
092 スタンダードフライ・タイイング図説 エッグフライ ラバー・レッグス 備前貢
097 過程を愛する男たち 映画「フィッシング・ウィズ・ジョン」を観る 編集部
098 多摩川水族館 アーユー、オーケー? 中本賢
100 子どものフライフィッシング メダカが、学校 本村雅宏
105 トラウン川の遊漁規則を見る 川野信之
108 方脚の男 歌野毅
113 ふらいだ・ばーちゃる劇場 病は釣りからの巻 毛針田万作
114 郡上からの手紙 アマゴハエとヤマカチ 谷口宏次
116 雪女 平谷美樹
120 ライズなし 「THE POWER OF LOVE」をめぐるストーリー 浅野真一郎
124 シュークリーム猫 堀之内犀
130 僧侶としての釣り 仏教からフライフィッシングを考える 池田元用
134 パラダオス・バレーの憂鬱 なぜ、私たちの北アメリカの釣りは楽しくなかったのか 青島芳直
138 紀伊半島の熱い川 角敬裕
146 夜明けの森、夕暮れの谷 谷に降る雨 湯川豊
158 AFV通信 編集部
158 読者通信 編集部

内容紹介

フライの雑誌第40号-01
フライの雑誌第40号-02
フライの雑誌第40号-03
フライの雑誌第40号-04
フライの雑誌第40号-05

特集-釣り人の職業、そのメリットとデメリット
隣の芝生はほんとうに美しいか…

フライフィッシングにはまると、一時期、多くの人が「オレもウィーク・デイに釣りに行きたい! ハイ・シーズンにはドカッとまとめて遠征したい! 飽きるほど釣りがしてみたい!」と思うらしい。そして、「こんな商売(職業)やってるからダメなんだ、あの人みたいな時間が自由になる仕事がいい」「どうせ働くのならフライフィッシング関係の業界へ就職すればもっと…」「少しでもフライフィッシング寄りの職種に…」あるいは、「いっそのこと、とりあえず今の職業を辞めて、お腹いっぱい釣りをしてから次のことを考える」などと思いをめぐらす人も少なくない、という話をよく聞く。

では、実際のところフライフィッシング生活を楽しむうえで、職種による格差はどのくらいあるのか。また、フライフィッシングにはまっている多くの人たちは、フライフィッシング生活をより楽しむにはどんな職種がいいと考えているのか、読者アンケートの結果をまとめてみた。

そしてまた、フライフィッシングに入れ込みつつ日々の生活を送っている方々に、フライフィッシング生活を楽しむうえでご自身の職種のメリットとデメリットについて語っていただいた。

アメリカの竹竿職人たち プレビュー(3)
Marc Aroner マーク・アロナー
阪東幸成

レナード社を評価するとき、優れた竿とともに忘れてならないのは、さながらバンブーロッド界の名門校のように優秀な名工たちを輩出した教育機関的役割である。歴史の中に名を残したビルダーの多くがレナード社出身であることがそのなによりの証拠であるだろう。レナード出身で現在活躍中のビルダーはアロナーの他に、ロン・キューシー、ウォルト・カーペンター、ロバート・テーラーがいる。

そして私は、釣りガイドを辞めた(1)
トラウトバム(鱒乞食)
斉藤完治

仕事を辞める。それで、海外に行って一年間釣りをする。他には何もしない。なんとも素晴らしく豪勢な計画ではないか。

もちろん始めはそんなこと考えてもいなかった。ただ車が買いたくて貯金を始めたのだ。ルノー4。東京の街中をちゃらちゃら気取って走るのに丁度いい、少し洒落たデザインのフランス車だ。その頃僕はコピーライターをやっていて、いかにも業界の人間が乗りそうな車でもあった。既に一六〇万かそこらで程のいい中古も見つけておいた。しかし、いざ貯まってみると、これだけあったら一年間働かずに食べていける、その間好きなことだけやっていられるという思いがむくむくと湧き上がってきたのだ。飛行機代を入れても、生活費の安い場所を選べば何とかなる。

フォト紀行/秋の記憶の断片 角 敬裕
十月三日

仕事が忙しいと無性に釣りに行きたくなる。そして無理をしてまとまった休暇を得ようとすると、ますます忙しくなる。前倒しにする仕事、同僚とのスケジュール調整、おまけにフライも巻かなければならない。地図やらティペットやら、なんやかんやと買い物だってある。

この一週間、妻の仕事も猛烈に忙しいようだ。いつもならたいていは自宅で二人揃ってゆっくり夕食を作り食べるのだが、それもままならない。そのせいかここのところ彼女は怒りっぽい。いくら怒られ上手の僕でもたまらない。それでも今日は何とか時間を会わせて駅前のファミリーレストランで一緒に夕食をとった。

無数の我慢と努力によって、この秋の休暇をなんとか手繰り寄せた。いやもぎ取ったと言った方が近い。

明日の今頃は北の宿だ。準備に手間取っている。今夜は徹夜だ。

片脚の男 歌野 毅
目の前には、人一人がやっと通れるほどの幅のトレールが、霞がかかった遥か彼方まで、茫々とした湿地帯の中に伸びていた。

「タック、俺のことは気にしないでいいから、先に行けよ。俺は自分のペースで川まで、行くから」

「でも、本当に大丈夫なの」

「大丈夫だって。行け、行け」

ジョンが、いつものこと、というふうに、頬の肉をつり上げ、口を一文字にして言った。

「オー・ケー、タック。先に行こう。気にするな。じゃあダニー、俺たちは、先に行ってるぞ。俺のロッドは、持ってきてくれよな」

「うん」

七月の終わり、南アイダホで出会ったダニーは、片脚のフライ・フィッシャーだった。タックというのは、僕のことだ。

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