「北海道外来種対策基本方針」(素案)パブコメは2/7までです。

『フライの雑誌』第100号記念号、および本欄で何回か紹介しているように、北海道は「北海道外来種対策基本方針」に基づいた「外来種ブルーリスト」を選定しました。現在は、今後の道内での外来種対策を策定している際中です。

先ごろ北海道はこの「北海道外来種対策基本方針」(素案)に対して、ひろく道内外から意見を募集する、パブリック・コメントの募集を始めました。以前は本誌の取材に対して「パブコメは実施するかどうか分からない」と言っていたわけですから、大きな前進です。

パブリック・コメントは北海道の自然の利用者の意見を行政に届ける、大きな機会です。

北海道のマス釣りを愛好する釣り人のあいだでも、本件が大きな話題になっています。一部の釣り人のあいだでは、個別ニジマスの指定外来種選定に反対する、自主的な署名活動が始まっています。本誌編集部へも署名活動のご案内をいただきました。

釣り人の自主的な署名活動はもちろん尊いことです。ただせっかく北海道が行政手順にのっとって、公式なパブリック・コメントを募集しています。その機会を利用しない手はありません。

過去の事例をみれば、自主的な署名はしばしば無視されてきました。パブリック・コメントも送った意見が採用されるとは限りません。しかし少なくともパブコメで送った意見は、法的な裏付けにのっとって、公式な記録として行政へ届けられます。

ぜひ、一通でも多くの釣り人の意見を、〈「北海道外来種対策基本方針(素案)」に関する意見〉へ送付しましょう。

上記リンク先の「請願書」と同内容の文章を意見として送るのもありです。本誌編集部では署名活動をされておられる釣り人へその旨をお伝えしてご同意をいただきました。

パブリック・コメントの提出期間は2月7日(金)までです。くわしくは北海道環境生活部環境局生物多様性保全課のウェブサイトでご確認ください。

募集要項には「広く道民の皆様からご意見を募集します。」とあります。一見、北海道民以外は意見を送れないように読めますが、パブリックコメントへは、だれでも意見を送ることができます。居住地による扱いに差異はありません。北海道環境生活部環境局生物多様性保全課へ本誌編集部が確認しています。

「北海道外来種対策基本方針」(素案)へのパブリック・コメントとして、本誌堀内は以下のような意見をまとめました。本件にご興味のある皆さまのご参考になればと、ここに再度公開します。

北海道環境生活部環境局生物多様性保全課(生物多様性戦略グループ) 御中
「北海道外来種対策基本方針(素案)」に関する意見

人間の手が入って長い時間がたった二次的自然や、改変自然がほとんどを占める日本の国土では、生物多様性の概念を条令で一律に当てはめることはそぐわない。サンクチュアリ的なゾーン以外では地域住民と利用者との話し合いの中で、身の回りの生物相を考えていくことが現実的だ。

ニジマスは北海道の川や湖で世代交代を繰り返している。移入以来、長年にわたり道民から広く利用されている生物だ。ニジマスの分布域はすでに道内全域へ広まっている。北海道のニジマスは国内・国外からの観光客にとって、魅力的なディスティネーションとなっている。

道内各地にはニジマスを対象魚として、養鱒業を営んでいる方が多くいらっしゃる。ニジマスを指定外来種に指定することは、養鱒業者の生業を奪うことになりかねない。

ニジマスは指定外来種にふさわしくない。

>参照 「北海道外来種対策基本方針」(素案)への意見をまとめました。

人生いろいろ。釣り人も色々。意見があるなら口に出しましょう。

黙っているのは同意と同じです。

(文責:フライの雑誌社/堀内正徳)

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【参考1】

北海道のニジマスは指定外来種にふさわしくない(?)|フライの雑誌社

【参考2】

『フライの雑誌』第100号記念号(2013年8月10日発行)

【参考3】

フィールドレポート「ブラウン駆除の次はニジマスだ」(三浦幸浩/『フライの雑誌』第62号

【参考4】

『フライの雑誌』寄稿者の残間正之さんから:「ニジマスを指定外来種に指定して広い北海道全体を画一的に規制することには疑問を感じます。」(ゆるゆる北国暮らし

『フライの雑誌』第62号所載 フィールドレポート「ブラウン駆除の次はニジマスだ」(三浦幸浩)
『フライの雑誌』第62号
『フライの雑誌』第100号記念号
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魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか 水口憲哉(著)|ブラックバスは、濡れ衣だ! 異色のベストセラー 特定外来生物法批判
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