柳美里とCocco

8月号の『創』を買い、仙川ドトールで読む。
柳美里の新連載が始まっていた。どうということのない身辺雑記なのに、この人が書くと妙にこわい。顔もこわいが文体はもっとこわい。ダイヤの刃が仕込んである笹の葉のようである。うかつに握るとシャッと皮膚を裂く。やってしまったが最後、なかなか治癒しない。
毎日新聞でコラム連載していたCoccoの文体のこわさと近い。もっともCoccoが書くものの下地にはたしかな体温があった(私はあれを読んで泣いたこともある)。柳さんのは-20℃くらいだ。
Coccoが沖縄で海フライをやったら最高に似合いそうだが、柳美里がフライフィッシングに興じる姿は想像しただけでやばい。昼なお暗いゴルジュの底で、蛇フライを操っている柳美里と出くわしたと考えてごらん。
ただ、柳さんはタイイングは上手いと思う。ものすごく独創的なフライを巻きそうだ。やはり蛇かな。