第2回「竹のフィッシング・クラフト展」へ伺った。

「竹のフィッシング・クラフト展」へ伺った。今年で第2回目の開催。昭和記念公園の一角にある瀟洒な文化センターのロビーを会場にしている。バンブーロッドがメインの展示だが、それを目的にしていない一般の来場者の方々も多く立ちどまって楽しそうに眺めていた。

現場での直販が不可なので商売っけがないのもいいのだろう。出展者の皆さんは全国からお集まりになるだけでもたいへんなご労力だと思うのだが、商売抜きでのいわばユーザー目線でのこうしたイベントが近年は全国で気軽に開かれていることは、フライフィッシング文化の日本での成熟を映していると思う。

来場者の年齢層に若い方(といっても30代中心だけれど)が多く見受けられたのは今や意外ではなくて、最近の『フライの雑誌』へいただく読者カードの年齢層を考え合わせると、なるほどと納得する。

いまフライフィッシングは一過性のブームの流行り廃りではなくて、日本の一般社会からそれと認知された上で、地に足の着いた盛り上がりを見せている。

底なしの不況に苦しんできたフライ業界の皆さんにとっては、「リバラン」公開以来の苦節20年ということになる。ギョーカイの皆さんは今度こそ調子づかないで、フライフィッシングの楽しさをゆっくりじっくり味わってもらえるような商いをしましょう。とくに墨田区方面のメーカーのエラい方へお願いしたい。くれぐれも前みたいに調子づかないように。

当日、出展されていたバンブーロッドビルダーさんの何人かにわがままなお願いをして、自作のバンブーロッドを会場横の試し振りスペースで振っていただいた。もちろん、来場者の方のキャスティングも観察していた。これがたいへんにすばらしい経験だった。

なんだかんだいってわたしは都合25年くらい日本のフライフィッシングの様子を見てきているつもりだが、バンブーロッド事情に関して今の日本は20年前とはもちろん、10年前とも全然違う。それは竹竿の作り手さん、使い手さんのフライキャスティングのスタイルの変遷を拝見すれば、なにより明らかなことだ。

12月20日発行のフライの雑誌社からの新刊『バンブーロッド教書』のオビには、〈現代はバンブーロッドの黄金期である。〉と書いてある。まさに21世紀初頭の現代はこれから始まる、すでに始まっているバンブーロッド黄金期の初っ端にある。この時代にバンブーロッドを手にしてあれこれ楽しめるフライフィッシャーはたいへん幸運だと思う。(堀内)

会場は公園の一角の静かなサロンという感じ。お客でも関係者でもないのに妙に自意識過剰なおっさんたちの一群がウロウロしていないのはたいへん好ましかったです。
会場は公園の一角の静かなサロンという感じ。たいへん好ましかったです。
会場の横にはバンブーロッドを試し振りできる青空キャスティング・スペースが確保されている。渓流禁漁後の秋晴れの一日をすごすのには最高のシチュエーションだった。
会場の横にはバンブーロッドを試し振りできる青空キャスティング・スペースが確保されている。渓流禁漁後の秋晴れの一日をすごすのには最高のシチュエーションだった。

竹の国の釣り人たちへ。バンブーロッドを知る。バンブーロッドで釣る。【新刊】バンブーロッド教書[The Cracker Barrel]|永野竜樹 =訳 フライの雑誌社 =編
竹の国の釣り人たちへ。バンブーロッドを知る。バンブーロッドで釣る。【新刊】バンブーロッド教書[The Cracker Barrel]|永野竜樹 =訳 フライの雑誌社 =編