編集部のあたらしい仲間を紹介します

千葉の田んぼ出身のクサガメさん2頭です。今年の5月に編集部へやってきました。窓際の60センチ水槽が彼らの住まいです。3日に一回は必ず水替えをします。けっこうたいへんです。この作業があと20年くらい続きます。カメ長生きですから。

じつはもう1頭、ミドリガメの赤ちゃんも別の水槽にいます。こちらは先月、近所の小学校の校庭をのそのそと歩いていました。カメがふつうに昼休みの校庭を歩いているとは日野っぽい話です。すぐさま子どもらに発見され、当然のようにそのまま教室に拉致されたというのも、日野っぽさ満点です。

教室で飼い始めたはいいが、甲長3センチ程度のカメの幼体を、小学生低学年がきちんと飼育できるはずがありません。水深30センチもある金魚の水槽にドボンと入れるわ、運動と称して廊下に連れ出すわで、ほどなくひん死の状態に陥ってしまいました。その様子を逐一報告を受けていたわたしは、このままではカメが死んでしまうと、内心気が気ではありませんでした。

いよいよカメがぐったりしてきたころ、この死にそうなカメどうしようと、学級会で話し合いが行われました。あたしムリ、先生もムリ、あそこんちは他にももうカメ飼ってるってさ、ということになって、ひん死のミドリガメがわが編集部へやってきたというわけです。ぼくのいえで飼いますってお前手を挙げろ、ってわたしが言っておいたんですけどね。

水槽の環境を整えてあげて、しばらく安静にしておいたらエサも食べるようになって、赤ちゃんは一回り身体も大きくなりました。しかし、学校でよほどひどいめにあったのでしょう。昼間はほぼカメ島の中に隠れっぱなしで、めったに姿を見せてくれません。本当にいるのかどうかのぞき込んで見ることもしばしばです。たまには甲羅干しでもしたらどうだい、きょうだい。

先日お客さんが遊びにやって来たので、「カメ見る?」とカメ水槽を並べたコーナーに連れて行きました。するとお客さんは水槽を一べつして、「あぁ。カメですね。」のひとことで終了。カメには興味ないですか。

そのときは2匹のクサガメのほうも、「えぇまあ。カメですけど。」とでも言いたげなアンニュイな表情をうかべて身じろぎもせず。ミドリガメの赤ちゃんはやっぱりカメ島の中に隠れたまま出てこず。

こんな日々があと10年も続けばわたしの人生は幸せです。

60センチ水槽にはクサガメ2頭。アンニュイな感じ
めったに顔を見せてくれない恥ずかしがり屋さん