『フライの雑誌』読者さんへ/山梨県産淡水魚の放射性物質調査に考える

以下の内容は、今年発行した『フライの雑誌』の直近2号(第93、第94号)に掲載した記事の趣旨と同じだ。大事なことだと思うから、今回の山梨県の対応をきっかけに、せめて『フライの雑誌』の読者さんには、くりかえし伝えておきたい。興味のない方は読み飛ばしてください。

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山梨県はやっと県産淡水魚の放射性物質調査をすることに同意した。これははっきりと、釣り人のみんなが山梨県へ働きかけた成果だといえる。

ただ、発表された検体数はあまりにも少ない。それに他県での調査実態を見ればわかるように、国や自治体による検査は基本的にはその食品を「流通させる」ための検査だ。網抜けだらけである。

多々ある例を持ち出すまでもなく、相当数のひどい放射能汚染食品が市場に流通しているのが現実だろう。

自治体の放射性物質調査はアリバイだと思うべきだ。本当に国民や県民のことを行政が大切に考えているならば、3.11以降のような対応になるはずがない。

だから、今回山梨県が県産淡水魚の放射性物質調査を決めたことには一定の評価を与えていいが、決して「だから安心、安全だ。よかったよかった」で終わらない。

具体的には、公共機関の調査は完全には信用せず、誠実な生産者や流通業者による、第三者的民間機関の放射性物質調査のほうに、より注目することだ。あとは信用できる調査態勢が整うまで産地表示で選ぶしかない。

哀しいことだが、消費者にそう考えさせたのは国と行政である。やるべき対応もせずに「被災地を食べて応援しよう」とは聞いて呆れる。国と行政の怠慢と逃げの姿勢が風評被害を作ってきたし、今も拡大させている。

これからも楽しい釣りを長く続けていきましょう。(『フライの雑誌』編集部/堀内)