『淡水魚の放射能』は扱いづらい。ムラソイ24万ベクレルに思う。

東電福島第一原子力発電所の港内から獲れたムラソイから、過去発表された魚類の汚染最高値、25万4千ベクレル/kgが検出されたと発表された。1kg食べた場合の内部被ばく線量は約4ミリシーベルトだそう。 

身体の中から長期間にわたって細胞に悪さをするのが内部被ばくだ。しかもマイクロじゃなくてミリ。もちろんセシウムだけじゃない他の放射性物質も検出されているはず。

そんなことで、2011年4月の水口憲哉氏の発言を思い出す。

これから半年くらいは、食物連鎖の始めの部分の汚染が問題となり、1〜2年後には、他の魚を食べる魚で放射能を測れば高い値が出るようになる。 …筆者はこの時コメントを求められて、〝地獄の釜のフタが開いた〟と言ったが、それを報じたところは一つもなかった。

『よつばつうしん』5月号。小社サイトで全文公開中

無視したところで、2年たってこういう現実が否応もなく突きつけられる。知識と情報を持っている人々には、2年前すでに予測できていたはずの現実だ。彼らは黙っていたのだ。

じつは『淡水魚の放射能』も、大手メディアからは、発行以来ここまでほぼ無視されている。エンタメ系の媒体がこの本を扱いづらいのは、小社も釣りを扱っている版元だけによく分かる。

でも、ね。

釣りの媒体の中では、唯一「ルアーマガジン リバー」誌さんだけが、この本に正面から向き合った長文の書評を書いてくれた。行間から釣り師の悔しさと反骨があふれていた。

〝忘れるものか〟〝二度と起こすものか〟という、たくさんの声が必要だと思うのです。そのうち何かが変わります。