先生 「おはようございます。」
児童 「おはようございます…」
先生 「声が小さい。おはようございます!」
児童 「お!は!よ!う!ご!ざ!い!ま!す!」
先生 「はい、うるさい。(クラス笑)。今日の学級会では、来月の全校子どもフェアでの、わたしたち4年3組の出し物について、名前や、くわしい中身を決めましょう。今週の学級委員のけんじ君、司会をお願いします。」
けんじ 「はい。それでは、出し物の名前について決めようと思います。議論しましょう。」
(しーん)
先生 「…えーと、先週の学級会で決めたことを確認します。わたしたち3組の出し物は、体育館にいろいろな障害物を置いて、遊びにきてくれたお友だちにクリアしてもらうまでのタイムを競うものです。運動会の障害物競走みたいなものですね。まずは、その名前をみんなで決めましょう。けんじ君。」
けんじ 「はい。運動会の障害物競走みたいな出し物の、名前を決めましょう。議論しましょう。」
(しーん)
先生 「…なにかないですか。自由に発言していいですよ。」
まこと 「ちんこ競走。」
(男子大爆笑。女子から「えー」「やだー」の声。)
先生 「ちんこ競走はだめです。」
まこと 「障害ウォッチ。」
(クラス大爆笑。「妖怪ウォッチだろー」、「いいね!」の声多数。)
先生 「そんなんでいいの?」
(「いいね!」が20超え。「シェアさせていただきます」の声多数。)
けんじ 「では、名前は〈障害ウォッチ〉でいいですか。」
(「いいね!」が40超え。「シェア」20件超え。)
先生 「ちょ、待って。じゃあ、はい、先生が決めます。障害物競走みたいな出し物の名前は、〈障害物競走〉にします。」
(クラスから「えー」「まんまじゃん」の声。)
先生 「いいんです。はい、では、次に障害物の棒の高さを決めましょう。けんじ君。」
けんじ 「はい。障害物の棒の高さを決めましょう。議論しましょう。」
(しーん)
先生 「なんでも意見を出してくれていいですよ。」
まこと 「2センチ。」
(クラス大爆笑。「低いよー」の声多数。)
先生 「それだと誰も通れませんね。せいぜい80センチくらいでしょう。80センチにします。はい、次。ガサガサネットを置く場所はどこにしますか。」
けんじ 「ガサガサネットを置く場所はどこにしますか。議論しましょう。」
やすお 「校庭。」
(「えー」「体育館じゃないじゃん」の声。)
やすお 「プール、給食室、職員室。…校長室!」
(クラス大爆笑。「まずいでしょー」「むりー」の声。)
まこと 「便所!」
先生 「ふざけないでまじめに考えてください!」
(しーん)
先生 「なんで意見でないのかな。」
(「だってどうせ先生が決めちゃうんじゃん。」の声)
先生 「だれかなにか言いましたか!」
(長い、しーん)
先生 「…意見出なくなっちゃったな。困りましたね。けんじ君、どうしましょうか。」
けんじ 「(しばらく考えて)では、なんで意見が出ないのか、議論しましょう。」
(しーん)
先生 「…黙っていては、わかりませんね。なんでもいいので、意見を出してください。議論することが大事ですよ。学習指導要領にもちゃんと書いてあります。」
ひでお 「(おずおずと挙手して)…はい。」
けんじ 「はい、ひでお君。」
ひでお 「あの、もうこんな学級会は、やめた方がいいと思います。」
(クラス、ざわざわ)
先生 「(こわばった声で)…なんでやめた方がいいんですか。」
(しーん)
けんじ 「では、なんでやめた方がいいと思うのか、議論しましょう。」