次号第103号まじ校了。

東京印書館さんに校正戻しがおわった。これで次号『フライの雑誌』第103号まじ校了。尺取り虫も千里の道を行く。空はくもってるが気分は青空だ。

江戸川橋でたかちゃんラーメン、有楽町、銀座ランブルでお茶、新橋でお巡りを発見して職質回避、青山一丁目で乗り換えて代々木。駅前のサイゼリアでむかしの仕事上の恩人Sさんを呼び出して、丸一年ぶりくらいでお茶。Sさん開口一番「いまの俺の仕事? 聞かないでくれ。うちの子どもと野球のことはなんでも話すから。」。OK、あなたの子どもと野球の話を聞かせてもらいたいです。

Sさんはわたしより11歳歳上。最初に会ったのは25年前。当時と変わらないマシンガントークの途中でふと、「こんな話でいい?」と確認してきた。「いいですよ。」と言ったらマシンガン再開。ほぼ一方的に2時間30分喋りまくったあとで、「おれもおまえと話すの楽しみにしてるんだからさ、今度は来る前に電話してくれよなっ。」と言われる。いい人だ。この25年のあいだに死んでしまった共通の知り合いのことを話した。「お前もさ、子どもいるんだからまだ死ぬなよ。」と言われる。みずからあっちへ行く気はないっすよ、と答えて「そりゃそうだけどさっ。」と笑う。

新宿からJRでもよかったが南阿佐ヶ谷の書原に行きたかった。あえて丸ノ内線で南阿佐谷へ。「週刊プロレス」購入。「書店に入ったら何も買わずに出てはいけない」とどこかで読んだので、以来実践している。買いたい本はほかにもたくさんあった。うちの近所に書原がほしい。ていうか書原をまるごと連れて帰りたい。パールセンターを北上して駅前で時計をみると20時。吐夢。オバマが安倍となんの寿司を食ったかをワイドショーにぺらぺら喋るおしゃべりな高級焼鳥屋(「バードランド」)と、客が有名人かどうかで扱いを差別する慇懃無礼なおばばの蕎麦やの思い出で盛り上がる。

ガスメーターの箱の方に住んで、酒をのんではグーで人を殴る「けもの」みたいな美しい女優さんの武勇伝の数々と、いつだかの大みそか、その「けもの」にお酒をごちそうしてもらい、お礼にお店の中で踊った若い舞踏家二人組の話は、はじめて聞いた。

坊主頭の二人は「感謝の気持ちを表現したい。ぼくたちにはこれしかできないから。」と言って半裸になり(金粉はなし)、〝おいしいお酒をありがとう〟の踊りを踊ったとのこと。たまたま他にお客はいなかった。「ほら、あそこで踊ったの。」と店主に指差されて振り向いたら、からみ合いながらうごめいているあやしい駱駝たちの幻影がわたしにも見えた。

感謝の踊りは無音で10分以上続いた。なにも関係ない他のお客が、新年口開けでふつうにお店の扉を開けて入ってきて、お互い顔を見合わせて「あ、」と言ったところで終わったという。阿佐谷ではとくに吐夢ではいろいろ貴重なことが起こる。

わたしはよくわからないのだが、阿佐谷界隈に暮らしている役者さんは、「風呂付き」に住むのが売れた証になるのだそうだ。「あのこはとうとう風呂付きに引っ越した」「出世したなあ」と言われるらしい。なに時代だ。

わたしにしてはいつになくグラスを重ねて吐夢にばいばいした。中央線に乗りこもうとしたら、後から降りてこようとした酔っぱらいの若いサラリーマンがすれ違いざま、わたしの胸の真ん中へわざとエルボーをかましてきた。ぼすっ。なんだよーと思ったがスルー。おれ大人だ。今日校了したからね。

多少頭ぐらぐらしながら電車の中で色川武大「寄席放浪記」を読む。たぶん再読。おそるべき厖大な記憶の端っこをさらさらひもといた後に、「こんなこと覚えていたってなんの役にも立たない。なんの役にも立たないことは分かった。」とつぶやくのがあまりにかっこいい。おたくの条件は記憶力のよさだ。わたしはおたくにはなれない。

立川から青梅に行きそうになってはッと我に帰り日野。これも人生だ。

青信号、前へ。
シャッターをノーファインダーで押したら青信号が写っていた。前へ進めということか。
けいさつ、ばかじゃないか。
けいさつ、センスない。

ときどき整理する。歯抜けていると落ち着かない。
ときどき創刊号から全巻を整理する。

連番。
連番。抜けなし。

たぶんわたしが『フライの雑誌』のいちばんのファンだろう。それがツラいところでもある。
たぶんわたしが『フライの雑誌』のいちばんのファンだ。だから今の立場はありがたいしその分きつい。

カマキリが車か自転車に轢かれ、寄生していたハリガネムシがあわてて出てこようとして叶わず、ひからびちゃったところ。
カマキリが車か自転車に轢かれ、寄生していたハリガネムシがあわてて出てこようとして叶わず、ひからびた。
葛西善蔵と釣りがしたい
葛西善蔵と釣りがしたい

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フライの雑誌-第121号 特集◎北海道 最高のフライフィッシング|121号の連載記事で人気ナンバーワン。夢を挟むタイイングバイス フライオタクの自由研究2 大木孝威(2020年12月5日発行)

版元ドットコムさんの〈読売新聞の書評一覧〉に『黄色いやづ 真柄慎一短編集』が載っている。もう本当にありがたいです。

真柄慎一さんのデビュー作 朝日のあたる川 赤貧にっぽん釣りの旅二万三千キロ
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春はガガンボ号 ガガンボは裏切らない。 頼れる一本の効きどこ、使いどこ

『フライの雑誌』第120号(2020年7月20日発行) 特集◎大物ねらい 人は〈大物〉を釣るのではない。〈大物〉に選ばれるのだ。|特集2 地元新発見! The new discoveries around your home