オホーツクの男の巨大ニジマス、山梨県桂川水系、群馬県渡良瀬川水系の尺ヤマメ、日野市では婚姻色あざやかなオイカワと、各地で劇的な効果を発揮している島崎憲司郎さん考案の〝マシュマロ・スタイル〟フライ。マシュマロ・フライは大きいのから小さいのまでムリなくタイイングできて、大きい魚から小さい魚まで相手にできます。汎用性の高さが魅力のひとつです。歴史的な「ヘアウイングスタイル」「ウルフスタイル」「パラシュートスタイル」などと同じ位置づけと思っていただければ分かりやすいでしょう。
マシュマロ再発見ブームの火付け役となったのは、『フライの雑誌』第98号のマシュマロ特集でした。多方面からの反響におどろきました。一気に「マシュマロ使い」が全国に増えたようです。その2年後、第102号では、手のりの「Marshmallow Mouse(マシュマロ・マウス)」を表紙にしました。すると、「こんなんで魚釣れるわけないじゃん。」という気弱な陰口が、本来は仲間であるはずのフライフィッシング・ギョーカイ内から、聞こえてきたとかこなかったとか。編集部の地獄耳には聞こえたようです。スネ夫のそねみかと思いました。
編集部は、ちっぽけなムラに引きこもって、利害関係で他人様の釣りへ背中からケチをつけるような、しょぼい人々との関わりは通常なるべく避けています。だから逆にそういうしょぼしょぼな案件はしっかり見逃さない、聞き逃さないのかもしれません。因業編集部です。
そのマシュマロ・マウスに関して、単行本『バンブーロッド教書』の装丁画を描いてくれた、京都のバンブーロッド・ビルダー北岡勝博さんからのお便りが届いたので、本欄で紹介します。関西育ちの北岡さんは子どもの頃からの熱心なバス釣り師です。第102号の表紙を見て、「これは釣れるでー」と直感したそうです。「このフライで釣りたい!」と思って、さっそく自分でタイイングしたとのこと。フライフィッシングは誰が何といおうと自己満足のヨロコビを味わう釣りです。魚を獲りたいだけなら、底引き網でも引いてればいいわけです。
第102号でマシュマロ・マウスを知って以降の今シーズンは、マシュマロ・マウスの基本をおさえたバリエーションをタイイングして、いいバスを連発させているようです。調子のいい日は入れ食いだとか。マシュマロ・マウスの特性について、電話で色々と教えてもらった内容を以下紹介します。
今までのバスフライと全然違いますね。なんと「横」に動くのです。まず、プレゼンテーションの感じがいい。水面にひっかかって沈みません。ゆっくりリトリーブすると水を押しながら、左右にぬめぬめ・くねくねとうごめくフライなんて初めてです。これなら魚も食べてしまいますよ。実際、活性の高いときのバスは、マシュマロ・マウスを警戒心なく完全に吸い込んでしまいます。
キャストした後、何もしないで放っておくのもいいですね。1分、2分おいておくと、ガマンしきれなくなったバスがガブンッと出てきます。マテリアルは102号に出ていたオリジナル通り、ラムズウールでつくったマシュマロに、ギターの5弦か4弦のアイ、テールとしてウェブつきストークまるごとのハックルをつけています。マウスの顔の作り方は自分なりに色々工夫しています。フックはTMC8089の#8と#10をキールに。色はホワイト、ナチュラル、ブラック、チャートリュースあたり。
水面をくねるカヤネズミの動きとそっくり。イトウやブラウントラウトの大物にも効くはずです。一撃必殺、狙い撃ちのフライですね。とくにスレているバスには最高です。
以上、東京弁に翻訳してお届けしました。
本誌誌面でご案内している通り、島崎憲司郎さんが進行中の近刊『シマザキフライズ Shimazaki Flies』は、シリーズ化されて何冊も出る予定です。その第一弾はこの〝マシュマロ・スタイル〟になるかもしれないとは、島崎憲司郎さんご本人からの情報です。
『フライの雑誌』は気やすい釣り仲間のたのしい情報交換と、真剣勝負の遊び場でありたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。
フライの雑誌-第128号
特集◎バラシの研究
もう水辺で泣かないために
…
フライの雑誌 124号大特集 3、4、5月は春祭り
北海道から沖縄まで、
毎年楽しみな春の釣りと、
その時使うフライ
ずっと春だったらいいのに!