菜食主義者と狩猟者の議論を読んだ。
人間の生存のためになら動物の生命を奪うのはやむをえない、という。
釣り師は商売でもないのに、魚をむやみに殺生する。命まで奪わずとも傷つける。結果はともあれ準備段階ではできれば魚を傷つけたいという意思は明白だ。
釣った魚を放すキャッチ・アンド・リリースは、世間様からとかく指弾されやすい。釣りをしない人は、「命をもてあそんでる」とか、「食べてこそ供養になるのに」とか言う。
対して釣り師は、「リリース後の生存率は高い」とか、「資源の有効活用」とか、「自分はそっと放してる」、とか口をとがらせる。
わたしが考えるには、どっちもしょせん人間側の身勝手な倫理や科学にすぎない。
釣り師はなんで釣りをするのかといえば、「釣り師は釣りしなくちゃ死んじゃうから釣りするんだ。」という、まったく世間様への説得力に欠ける、しかし当事者にとってはまさに生死のかかった、人間的なあまりに人間的な根拠にたどり着いて、自分の場合は今に至る。
釣り師は釣りしないと本当に死ぬ。実例をいくつも挙げられる。一応釣り師属性だと思ってる自分でも、全くばかげてると思う。
ちなみに今度の「海フライの本3」にはこんな一節がある。
「なぜ、毎日釣りするの?」
「もっと釣りたいから。」
これは私と毎朝一緒に海に立っている二人の答えです。〝そこに山があるから〟的な、答えにならないものでした。
私の日常はこんな感じです。日の出2時間前に起床。歳とともに起きてから家を出るまでの時間が長くなりました。バイクで釣り場へ向かいます。半径50キロ以内がテリトリーです。
健康のための朝の散歩が、私の場合は釣り場めぐりです。朝食は自宅で食べたことがありません。朝9時前には店に帰って仕事。夜9時にはほろ酔いで就寝。
たまに夜釣りをするとふらふらしますが、朝はいつも通りの日の出2時間前に勝手に目が覚めます。この不規則正しい生活を長年送って、いたって健康であります。
(Ⅶ章「探りとデータ」より、02「釣り情報、教えます」)
沼は深くなるばかりである。
・・・
「海フライの本3」の媒体向け案内文を作りました。
海フライの本3
海のフライフィッシング教書
THE ADVANCED GUIDANCE OF SALTWATER FLY FISHING中馬達雄 =著
Tatsuo ChumanA5判 144ページ
本体2,000円
ISBN 978-4-939003-73-8・・・
ボートやサーフ、リーフから行なう海のフライフィッシングは1950年代に米国で始まり、現在は世界中で楽しまれています。日本ではおかっぱり(岸から)の海のフライフィッシングが、独自に発展しました。
本書『海フライの本3 海のフライフィッシング教書』は、身近な海のフライフィッシングを体系的に解説した、世界で初めての専門書です。
スズキ、カマス、アジ、イナダ、ギンガメアジ、ロウニンアジ、根魚、カンパチ、シイラなどを、防波堤や港といった岸から狙って釣るためのテクニックと、日本の海で育ったよく釣れるフライパターン、初めての海の探り方、リゾートなど離島でのフライフィッシングまでを網羅しました。
著者は、岸からロングキャストして狙って釣る海のフライフィッシングの確立を長年追い求めている中馬達雄さん。フライフィッシング専門誌『フライの雑誌』での15年間の連載を全面的に加筆・再編集し、新たに書き下ろしを加えて今回の一冊にまとめました。
『海フライの本3 海のフライフィッシング教書』は、これから海フライを始めたい方、渓流や湖のマス釣りで忙しい方の読み物としても、楽しんでいただけます。