月刊「山と渓谷」に連載が始まったときから、ずっと好きで読み続けていた樋口明雄さんの『北岳山小屋物語』が、一冊の単行本にまとまりました。
あたたかみのある樋口さんの地の文章は、聴き書きものにぴったり。しかも山小屋の管理人さんを訪ねて書いてもらうなら、南アルプスの麓に長年暮らして、北岳周辺をホームとしているリアル山ヤの樋口さん以外に適任者は考えられない。
そこをアッセンブリーしたのは、さすが山のプロ、山渓さんのお手柄だと思います。
仰々しすぎず落ち着いた造本です。電子版にはない手触りの温もりがうれしいです。
本書は樋口さんにとっては初めてのノンフィクション本(実話怪談ものは除く)。樋口さんの初めてのエッセイ本は、フライの雑誌社から2010年に出た『目の前にシカの鼻息』です。
初めてつながりで、『北岳山小屋物語』の著作紹介欄に、『目の前にシカの鼻息』も載っていると期待したらなかった。だから二冊並べて撮影しました。雰囲気がちょっと似ています。
樋口さんファンにはぜったい的に両方おすすめです。と思ってたら取次さんから『目の前にシカの鼻息』の注文をいただきました。よかったです。
樋口明雄さんには次の〈フライの雑誌〉第119号にも、連載エッセイをご寄稿いただきます。どうぞお楽しみに。