野生生物の行動は常にリスクとのトレードオフです。もちろん人間もその例外ではありません。この未曾有のコロナ鍋においては、なおのこと、各自に行動の取捨選択が迫られます。ぐつぐつ煮込む鍋は冬の味覚です。
〝生殺与奪の権を他人に握らせるな!!〟が時流のようですし(いちおう全巻持ってる。映画は見てない)、緊急事態宣言を政治に求める大合唱には、わたしは乗っかりたくありません。あと、たいへん残念ですが、東京五輪はあきらめましたと認める潮どきとしては、遅すぎたけど今がちょうどいいかと思います。
日本でも「カナダのスチールヘッドのような夢のある魚が釣れるように」なら,サクラマスやサツキマスがまともに釣れるような環境と制度を作るのが筋では?|未来へ続くニジマスのリリース 外来種の枠超え成長できる環境求む― スポニチ Sponichi Annex 社会 https://t.co/XuaigcLtcW
— Taiga YODO (@TaigaYodo) January 4, 2021
魚類相に甚大な影響を及ぼす無駄な事業に、魚類研究者さんらが身体張って組織張って異論を唱えてくれるなら、日本のお魚の未来は安泰です。
過去の原発、琵琶湖総合開発、長良川河口堰、小国川ダムに辺野古埋め立てなどなどなどなどへの対応では、残念な動きのようでしたけれども。これからが大事です。
残念だったのは、釣り関係者、水産関係者の界隈もまったく同じで、他人のことは言えません。でもね。これからが大事です。
いくらエラそうなこと言ったって、ハヤの泳ぐ川の一本すら人工的に作れないんだから、たいしたことないんですよ。人間は。
この界隈に関する、堀内の個人的な考え方は、〝日本のマス釣りを知っていますか『Backcasts: A Global History of Fly Fishing and Conservation』 シカゴ大学出版局 (2016)〟でまとめました。産業管理外来種はそのあとに出てきたラベリングですが、大勢に影響はありません。
それにしても、〝日本にもアメリカやカナダみたいな魚が釣れる川がほしい。〟というお題目は、1990年代中期のトラウト・フォーラムで、すでにさんざん議論されています。そして、そういう方向性はちょっと違うよね、という一定の共通認識に達したと考えています。リリースの編集は堀内がやりました。関係各方面に配布済み。公開セミナーの内容はフライの雑誌-27号、28号、41号に掲載しました。
以下公開資料です。参考になれば幸いです。
> 〈トラウト・フォーラム〉のしごと 01(2001) 02(2000)
> 「ニジマスについて考える:水産と遊漁を結ぶニジマスの重要性」(水産庁元釣人専門官櫻井政和)初出「ニジマスハンドブック」(林養魚場2007)、『フライの雑誌』第102号掲載2014) 画像
> 【公開】 『バックキャスト Back casts』を読んで サケ科魚類に見る現代の〈新しい野生〉(水口憲哉)2017
> 【公開】 ニジマスは好きか嫌いか|『魔魚狩り』(水口憲哉) 初出『フライの雑誌』第18号(1991年12月)
> 【公開】 [ニジマスとはどんな魚か] 堀内正徳(フライの雑誌社)2014
日本の国土は、人間の手が入って長い時間がたった二次的自然や、改変自然がほとんどを占める。海外からの生物の移殖、国内の移動も歴史的に連綿と行われてきている。
そんな日本における生物多様性の保全とは何なのか。〝本来の生物相〟を誰が決めるのか。水産的な経済活動を、生物多様性の概念とどのように関連づけていくのか。
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フライの雑誌社では、ここに来て日々の出荷数が増えています。「フライの雑誌」のバックナンバーが号数指名で売れるのはうれしいです。時間が経っても古びる内容じゃないと認めていただいた気がします。そしてもちろん単行本も。
島崎憲司郎さんの『水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW』は各所で絶賛されてきた超ロングセラーの古典です。このところ突出して出荷数が伸びています。