楽しい本ができました。
もうすぐお届けします。
「ねえ、あんた。起きてさ、釣りへ行っておくれよ。もうひと月も休んでるじゃないか。」
「ん、ああ。おれはよ。釣りはやめたんだ。こないだなんか、あたり一面ライズだらけなのに、ぜんぶスカされちまった。あんなばかばかしいこと、やってられるかってんだ。こうして家で釣りビジョン見ながら〈フライの雑誌〉パラパラやって、あつ森でタヌキの手伝いでもしてる方が」
「そんなこと言わないでさ。リアルな釣りへ行っておくれよう。あんたはほんとは腕はいいのを、あたしはよーく知ってるよ。こないだは、たまたまツイてなかっただけじゃないか。あんたに釣りへ行ってもらわないと、親子三人うちの釜の蓋が開かないんだよ。」
「でもだって、おめえ、竿はしまい込んじゃってるし、ラインはくるくるで、フライだって巻いてない。」
「竿は磨いてあるし、ラインもリーダーも新品、フライはあたいがマシュマロを巻いといたよ。」
「シューズのフェルトが剥がれてる。」
「ソールも貼り替えておきました、G17で。」
「ず、ずいぶん手回しがいいじゃねえか。」
「あたしはね、昨日今日釣り師の女房やってんじゃないんだよ。あんたの釣りに惚れて、一緒になったんじゃないか。ブラッド・ピットなんか目じゃないよ。ねえ、あんた、お願いだから、釣りへ行っておくれよ。」
「そ、そうかい。そこまでおめえに頼まれたんじゃあ。よしわかった。俺だって男だ。ここはひとつ心を入れ替えて、釣りに行こうじゃないか。」
「ああ、やっぱりあんただ。あたしはうれしいよ。そうそう、長靴の穴もふさいであるからね。ガスは満タン、ETCカードは使いたい放題だよ。あんたが釣りへ行ってくれれば、あたしはそれでじゅうぶん幸せなんだよ。さ、いい釣りしてくるんだよ。」
「おう! それじゃちょいと、釣りへ行ってくる。」
「あんた、様子がいいよ。」
ああ、女房大明神様!
というような妄想を抱きつつ、
発送作業に邁進しております。
〈フライの雑誌〉第122号を発行します!
特集は、〈フライの雑誌〉初の入門編「はじめてのフライフィッシング1」。島崎憲司郎さん + 山田二郎さんの「初公開 ホットワックス・マイナーテクニック」です。
※取り扱い店舗様には2021年6月5日以降に並びます。
※少部数です。ご予約注文をおすすめします。
※Amazonなど各書店・ネット書店でも扱われます。ネット書店経由での発送は6月中旬からになります。
ホットワックスの溶かしの技も見られます。次号フライの雑誌-第122号「ホットワックス・マイナーテクニック」(島崎憲司郎+山田二郎)特集との補完関係が成立。#flyfishing #フライフィッシング
シマザキ・フライウィングV / 島崎憲司郎のフライタイイングの世界 https://t.co/cZfGFmyuPs
— 堀内正徳 (@jiroasakawa) May 19, 2021
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