(編集部から)
でっかい川でスウィングしたい!
さあ、今年もスウィングの釣りの季節が始まります。
サクラマス、サツキマスに代表される憧れの遡上魚、とびきり元気のいいニジマス、威風堂々のブラウントラウト、河口の海フライ、渓流のヤマメ・アマゴ、イワナ。
初夏から秋にかけてのやんちゃ者オイカワは、スウィングで狙える身近で最高のターゲットです。
爽快なスウィングの釣りで、豪快かつ繊細に大物を狙いましょう。
『フライの雑誌』第123号(2021年10月発行)の特集は〈釣れるスウィング〉。今までの釣り雑誌に出てこなかった初公開の知識と、釣り人の立場に寄り添った正直なお役立ち情報の満載で、読者から大好評をいただきました。
第123号特集から、コラム よく分かる〈Dループ系キャスト〉 を公開します。
ぶっちゃけすぎたみたいで業界の一部的に問題があったようで、その筋の方が後追い企画であわててフォローしていました。ちょっと話題のコラムです。
・
・
よく分かる〈Dループ系キャスト〉
スウィングの釣りで使用される機会が多いDループ系キャストを整理しました。
編集部まとめ
・
・
オーバーヘッドキャストほどバックスペースを必要とせず、打ち返しがしやすいのがDループ系キャストの特徴だ。
スペイキャスト、アンダーハンドキャスト、スカジットキャストに大別する。
スペイキャストは19世紀の英国スコットランドで生まれた。よく曲がる竿とシルクラインでの角度変換のできるロールキャスト。当時のタックルではその投げ方しかできなかったとも言える。
アンダーハンドキャストはスウェーデンのヨラン・アンダーソン氏が20世紀中頃、スカンジナビア半島のバックのない川で釣るために、ラインをカットしてシューティングヘッドを作ったのが始まり。
よく混同されるのだが、アンダーハンドキャストとスカンジナビアンキャストは同じもの。メーカー側の大人の事情で、呼び方が異なるだけだ(これだからややこしい)。
スカンジナビアンキャストは、スカンジと略したりもする。
スカジットキャストは’90年代の北米スカジット川でのスティールヘッドの釣りで、アンダーハンドキャストのアレンジから始まった。
ラインをいったん水面で折りたたんでから投げる。ほぼ練習なしでルアーのように楽に投げられるが、水面を騒がせがちなことと、ターンオーバー性に難がある。
・
スペイキャストはダブルテーパー、アンダーハンドキャストはアンダーハンド(=スカンジナビアン)ヘッド、スカジットキャストはショートヘッドを使う。それぞれ専用の道具立てが使いやすい。
ゆったり運ぶのにはスペイ、小さいフライを繊細にプレゼンするにはアンダーハンド、ダンベルアイ付きのような重いフライを安全に投げるにはスカジットが向いている。
一般にDループ系は風に弱いとされる。飛距離はオーバーヘッドキャストに軍配が上がる。
・
止水でダブルハンドロッドでDループ系キャストを使用するのは、日本で特異な現象だ。静かな止水で水面を騒がせれば、魚を散らすのは当然だ。
まず、対象魚とフィールドがあり、キャスティングはそれに付随する。どのキャストが日本のどの対象魚にマッチするかは、今号P.33からの記事で確認してほしい。
流行に乗るのではなく、自分の釣りに必要かどうかの原点を確認しよう。もちろんキャスティングそのものは楽しい運動であるのは間違いない。
・
ちなみに、シューティングスペイとは、スカンジナビアンヘッドをスカジットキャストのように水面で折りたたみ、まっすぐ前に投げ返す方法のこと。日本のフライ業界の一部が、やはり大人の事情から独自に提唱した名称だ。デルタシューティングも同様で、日本以外では通じない。

Dループ系のラインとロッドのマッチングは、基本的に投げてみないと分からない。メーカーによってライン重量の表記基準が違うのは勘弁してほしい。
フライフィッシングの市場は小さいためか、メーカー・業界側が自分たちの都合をユーザへ押しつけてくる傾向があります。結果として釣り人や販売店の不利益になるのでは本末転倒です。
まして黒衣であるはずの業界の中の人が、何かとしゃしゃり出てくるなんて論外ですよね。
・

『フライの雑誌』第123号 41ページ。
SA社のフライラインは、スペイもスカンジナビアンもスカジットも、皆「SPEY」くくりに入れている。もちろん投げ方が違うし特徴も違うのだが。スカンジナビアンもスカジットも両方「スカジ」が入ってるから、余計にややこしいよね説も。
・
シンプル&爽快 サーモンから渓流、オイカワまで
Simple&Refreshing FlyFishing
with a SWINGカラーグラビア
戸出喜信 松田洋一 奥田巌啓
河口のスウィングは未開の領域 クロダイ、スズキ
渓流のスウィング
ニンフのスウィングはなぜ釣れるのか
ライズがない春は試しにスウィング
身近でスウィング 世界に誇れるオイカワ、カワムツ
和式スウィング おそろしく釣れる! 盛岡流し毛バリ 盛岡毛鉤の基本仕掛け
道産子S式「スウィングの釣り」のベーシック 坂田潤一
「スウィングの釣り」北海道実例
すぐ試せる! スウィングの釣りのコツ インタビュー
近藤雅之さん
世界のサケ科魚類 魚種ごとで違うスウィング ニジマス、ヤマメ、アメマス、ブラウン、オイカワの性格 ダウンでくいくい スウィングで大物を狙うときの優位点と注意点
素朴なQ&A スウィングで大物を釣りたい!
フライは沈んでいるか 最大の悩みはフッキングとアワセ リールのドラグ調整とファイティング いよいよランディング!
よく分かる〈Dループ系キャスト〉 編集部まとめ
スウィングは豪快に、繊細に 奥田巌啓
サクラマスの釣りを体験的に 松田洋一
先達はかく語りき。〈スウィングの釣り〉
最後のサーモン釣り 戸出喜信

特集◎釣れるスウィング
シンプル&爽快 サーモンから渓流、オイカワまで|アリ・ハート氏の仕事 Ari ‘t Hart 1391-2021|フライフィッシング・ウルトラクイズ!
『フライの雑誌』第123号
2021年10月15日発行
ISBN978-4-939003-87-5
///
『フライの雑誌』第124号は、待ちに待った春、ココロもカラダも自由な「春の号」です。

『フライの雑誌』の新しい号が出るごとにお手元へ直送します。差し込みの読者ハガキ(料金受け取り人払い)、お電話(042-843-0667)、ファクス(042-843-0668)、インターネットで受け付けます。

特集◉3、4、5月は春祭り 北海道から沖縄まで、毎年楽しみな春の釣りと、その時使うフライ ずっと春だったらいいのに!|『イワナをもっと増やしたい!』から15年 中村智幸さんインタビュー|島崎憲司郎さんのスタジオから|3、4、5月に欠かせない釣りと、その時使うフライパターン一挙掲載!
フライの雑誌』第124号

身近で楽しい! オイカワ/カワムツのフライフィッシング ハンドブック 増補第二版(フライの雑誌・編集部編)

単行本新刊
文壇に異色の新星!
「そのとんでもない才筆をすこしでも多くの人に知ってほしい。打ちのめされてほしい。」(荻原魚雷)
『黄色いやづ 真柄慎一短編集』
真柄慎一 =著
装画 いましろたかし
解説 荻原魚雷

桜鱒の棲む川―サクラマスよ、故郷の川をのぼれ! (水口憲哉2010)


「ムーン・ベアも月を見ている クマを知る、クマから学ぶ 現代クマ学最前線」 ※ムーン・ベアとはツキノワグマのことです。

フライの雑誌-第122号|特集◉はじめてのフライフィッシング1 First Fly Fishing 〈フライの雑誌〉式フライフィッシング入門。楽しい底なし沼のほとりへご案内します|初公開 ホットワックス・マイナーテクニック Hot Wax Minor Technics 島崎憲司郎+山田二郎 表紙:斉藤ユキオ


フライの雑誌-第118号|フライの雑誌 118(2019秋冬号): 特集◎シマザキ・マシュマロ・スタイル とにかく釣れるシンプルフライ|使いやすく、よく釣れることで人気を集めているフライデザイン〈マシュマロ・スタイル〉。実績ある全国のマシュマロフライが大集合。フライパターンと釣り方、タイイングを徹底解説。新作シマザキフライも初公開。永久保存版。|島崎憲司郎|備前 貢|水口憲哉|中馬達雄|牧 浩之|荻原魚雷|樋口明雄

フライの雑誌-第121号 特集◎北海道 最高のフライフィッシング|121号の連載記事で人気ナンバーワン。夢を挟むタイイングバイス フライオタクの自由研究2 大木孝威(2020年12月5日発行)

版元ドットコムさんの〈読売新聞の書評一覧〉に『黄色いやづ 真柄慎一短編集』が載っている。もう本当にありがたいです。

真柄慎一さんのデビュー作 朝日のあたる川 赤貧にっぽん釣りの旅二万三千キロ
(2010)

春はガガンボ号 ガガンボは裏切らない。 頼れる一本の効きどこ、使いどこ

『フライの雑誌』第120号(2020年7月20日発行) 特集◎大物ねらい 人は〈大物〉を釣るのではない。〈大物〉に選ばれるのだ。|特集2 地元新発見! The new discoveries around your home