一冊で二度お役に立つ
フライの雑誌社では新刊『朝日のあたる川 赤貧にっぽん釣りの旅二万三千キロ』(真柄慎一著)を出版します。この『朝日のあたる川』は、『フライの雑誌』の人気連載『春夏秋釣 春夏秋釣 列島巡礼23,000km』を単行本化した一冊です。
するどい読み手ぞろいの『フライの雑誌』読者から圧倒的な支持を受けていた本作を全面的に加筆し、本人の手による列島巡礼マップを追加。さらには旅の間に使ったフライを本人にタイイングしてもらってすべて掲載しました。楽しい旅日記ばかりではなくフライパターンブックとしても使える(?)スグレモノの一冊です。今どきこれくらいのお役立ち系でないとインパクトありません。
「そうっすよね(笑)。」
本作の単行本化のきっかけはもう3年以上も前にさかのぼります。編集部では連載開始前に本人にお会いして、まだ文章になっていない段階の彼の旅のメモを見た時点で、「これは才能だ!」と直感しました。まもなく連載が始まったのですが、まさか半年間の旅の連載が2年以上も続くとは思いませんでした。そっちはかなり予想外でした。
内容は面白いんだけどあまりの遅々とした旅っぷりに、連載2年目にかかる頃から、著者としばしば「いいかげんに旅終わったらどう。」、「そうっすよね(笑)。」というやりとりを交わしていました。大変失礼なことでふつうの著者と編集者の関係では考えられませんが、『フライの雑誌』ならではのそんな距離感が作品の温もりに反映していると思いたいところです。
※編集裏日記(2)に続く