20年近く前、道北の公営キャンプ場に泊まった。地元の友人、坂田潤一とオホーツクの男と三人だ。最高のキャンプ飯だった。
ランタンの光の向こうで、「俺子供の頃、ブロディに追いかけられたんですよ!」と、その日初めて会ったオホーツクの男がうれしそうに言って、以降仲良しになった。(「テリー・ゴディに突き飛ばされたんですよ!」とも言っていた) 楽しい夜だった。今でも鮮明に思い出せる。
日が明けて快晴。早朝、キャンプ場の中の小径を坂田潤一と散歩していた。突然、バリバリバリという雷のような恐ろしい音とともに、木の枝が二人のすぐ目の前、足元へ落ちてきた。ドスーン。
枝といっても丸太ほどの太さだ。長さ2メートルはあろうか。思わず上を見あげた。樹間に高く青空が見られるばかりだ。どこから落ちてきたのか分からない。まったく何の前触れもない。予測できるはずもない。
広大な森のキャンプ場の泊まり客は我々だけだ。小鳥がさえずっている。初夏の風が爽やかにそよいでいる。
北海道の自然を知り尽くしているはずの道産子Sの坂田潤一が「…なんかやばいから出よう。」とつぶやいた。背中がゾッとして、即撤収、早出した。その日の午後、わたしはでかいイトウを釣ったのだった。
神奈川県道志川のキャンプ場で、とても気の毒な事故が起きた。人が生きている以上、防ぎようのない事態に遭遇することはある。キャンプ場でも都会でも同じだ。自然が相手なら確率は上がるのかもしれない。
…
第126号〈隣人のシマザキフライズ特集〉続き。島崎憲司郎さんのスタジオで2022.12.26撮影。狭いシンクを泳ぐフライ。まるっきり生きてる。これ笑うでしょ。まじやばい。(音量注意) pic.twitter.com/vFuHHPEJvh
— 堀内正徳 (@jiroasakawa) December 27, 2022