昨年末から歯医者さんに通っている。たしか日記を書いてたと思って探したら、じつに15年ぶりであった。当時の様子を読み返すと、なんか楽しそうである。
この頃、待合室でボーッと外を眺めていたら、黄色い帽子をかぶったおさんぽ途中の園児の列がやって来た。「ここ、パパの歯医者さんだよ。」という聞き覚えのある声がしたと思うと、「あ、パパだ。パパ。」と言いながら、小さい人がガラス扉の向こうを一瞬で通りすぎていった。小さな手を振りながら。
というようなこともあった。やっぱり楽しかったかもしれない。
15年ぶりにかかることになって、担当が女先生から旦那の男先生に変わった。
最初の日、受付で女先生と15年ぶりに会った。お久しぶりですぅ、あらぁ変わらないですねえ、いえいえ先生こそ変わらずお綺麗でぇ、あらぁお上手、なんてキャッキャッと挨拶した。
その様子を男先生が見ていた。男先生は不愉快に思ったのかもしれない。ちょっと痛くされた。「ここ痛いですよね」とか言ってわざわざ触ってくる。痛いの分かってんなら触んないでください。
まあでも、男先生、女先生ともにやさしくて名医である。
今日は、若者の患者が隣の席になった。ついたての向こう側で、女先生に向かって「また歯が取れた。僕は20年歯医者に通ってるがこんなの初めてだ。」と大声で騒いでいる。とてもウザい。女先生、その若いのを痛くしちゃってください。
おれは50年歯医者通ってるけどここんちは名医だと思うよ! と女先生に加勢したいが言えない。なぜなら男先生がわたしの歯をゴリゴリやっているからだ。若者はずっと騒いでいる。こっちの治療が先に終わったので、「ありがとうございました!! とてもよかったです!!」と、向こうへ聞こえるようにお礼を言った。
居酒屋じゃないんだから歯医者の治療のあとに「とてもよかったです!!」とはどういうことかよく分からない。ついたての向こうで見えない女先生が小声でレスをくれた。「おつかれさまでした。おだいじに。」
女先生、がんばってください。旦那は毅然としなさい。
今日も元気だ。
百年後も続く、日本の漁村の未来のために。
『元気な漁村 海を守り、にぎやかに暮らす』
水口憲哉(著) (各ネット書店)
1月20日から発送します。
魚が減った、漁業は大変だ、水産業の先行きはない、と言われている。これは間違っている。全国の元気な漁村には元気な理由(わけ)がある。
> フライの雑誌社ネットショップの決済方法に代金引換を追加しました。
『元気な漁村 海を守り、にぎやかに暮らす』(水口憲哉)【2025年1月】
特集1◎新しい釣り Try New Things 世界を広げる。脱マンネリズム。|特集2◎シマザキフライズはどうなっているのか 島崎憲司郎|釣人専門官ってなぁに 日本釣り場論|釣るためのトラディショナル・スペイキャスト 総まとめ|水口憲哉 新刊『元気な漁村』