単行本『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉 2012)の一部を公開します。

類書なし
福島第一原発事故以前、日本では淡水魚の放射能汚染はまったく研究されていませんでした。本書の第1部では、チェルノブイリ事故をはじめ世界の核施設による、知られざる淡水魚の放射能汚染をくわしく掘り起こします。
第2部ではそれらの事例を参考に、福島第一原発の大事故により、いま日本の川と湖の魚たちに起きている放射能汚染の実態を見つめ、汚染の仕組みを考えます。そしてこれからの汚染の行方を予測します。
私たちが選ぶべき暮らしの有り様がそこに見えてきます。
セシウムの計測値は大きく三つの条件で変動する。
アユ、ワカサギ、イワナ、ヤマメ、ウグイ…、
身近な魚の放射能汚染の実態とその行方とは!?選ぶべき未来は森と川と魚たちが教えてくれる。
水口憲哉=著
(福島原発事故国会事故調査委員会参考人、東京海洋大学名誉教授)ISBN 978-4-939003-52-3
A5判 104ページ / 本体1,143円
2012年9月1日発行
Amazon(10/13) 環境・エコロジー部門/地球科学・エコロジー部門 同時第1位

チェルノブイリ事故後のヨーロッパにおけるセシウム137の地表沈着量

東日本セシウム沈着量
はじめに
○日本各地の沿岸漁民と共に原発をたてさせない取り組みを40年近くやってきたが、原発の大事故によってこれほどの魚介類の放射能汚染が起るとは考えていなかった。3.11以来海の水産物の放射能汚染への対応に追われた一年だったが、淡水魚の放射能汚染にはあまり関心をもたなかった。
○日本の原発は全て海岸にたてられ、淡水魚の放射能汚染を心配する人も少なく、研究報告もほとんどない。チェルノブイリ原発事故のときにヨーロッパの淡水魚でいろいろ研究されているということはぼんやりわかっていたが、日本の原発温廃水の漁業への影響の調査などに忙しく、深く追求することはしていなかった。
○海産魚におくれて、淡水魚では1年後にセシウムの計測値がピークをむかえ、ヤマメでは体重1キロ当たり18700ベクレルという、海産魚でも見られないような高い値が計測された。しかしこれに近い値はチェルノブイリ事故の年1986年の9月にノルウェーのマス(ブラウントラウト)で観測されている。
○今淡水魚の放射能について調べ始めての想いは、私はヨーロッパで25年前に何が起こったのかを全く知らなかったということである。
○アメリカの画家ベン・シャーンは1960年日本を訪れ第五福竜丸のビキニ海域での被曝の実情を知った後に作品ラッキー・ドラゴンシリーズを発表したが、その第一作の「我々は何が起こったのか知らなかった」というタイトルの画は見る度に引き込まれてしまう。なお、久保山愛吉さんがメッセージを持って病院のベッドに腰掛けている画「ラッキー・ドラゴン」は福島県立美術館が収蔵している。
2012年夏
水口憲哉


はじめに 002
第Ⅰ部 世界の淡水魚の放射能汚染
1章 問題の元凶 アメリカのチヌークサーモン 006
2章 ヒバクシャ・イン・USA アメリカのボウフィン 010
3章 チェルノブイリ原発事故 ウクライナのテンチ 014
4章 風下の恐怖 ベラルーシのパイク 018
5章 遠くシベリアでも ロシアのグレイリング 022
6章 ベンシャーンの故郷で リトアニアのローチ 024
7章 森と湖の地で フィンランドのバーボット 026
8章 最初に気づいた スウェーデンのラフェ 030
9章 空と海から ノルウェーのブラウントラウト 034
10章 まさかのことが グリーンランドのイワナ 038
11章 ダニューブ川のほとりで オーストリア、ハンガリー、ルーマニアの地衣類 040
12章 このような国でも クロアチアのコイ 042
13章 コルスマスの島 フランス・コルシカ島のウナギ 046
14章 原子力帝国 フランスのニジマス 050
15章 脱原発の足どり ドイツのシロマス 052
16章 カンブリア湖沼域 イングランドのパーチ 054
17章 苦悩と抵抗 アイルランドのアトランティック・サーモン 056
18章 マリ・キュリーとチェコの原発 ポーランド、チェコのブリーム 058
19章 もう一つの核大国 インドのカトラ 060
20章 五大湖の北で カナダのラージマウスバス 062
21章 心配とジレンマ 香港のライギョ 064
22章 ひとのあかし 日本のアユ 068第Ⅱ部 東日本の淡水魚の放射能汚染
1章 イワナ、ヤマメ、ウグイ、アユ 076
2章 ワカサギと霞ヶ浦の魚たち 086
3章 マス類の湖とさまざまな魚たち 090
4章 生態系としての問題 094
5章 どう考えればいいか 102BOX
BOX 1 世界の核実験 005
BOX 2 淡水魚の異変 021
BOX 3 ニジマスについて 045
BOX 4 原発の温廃水をどうするか 049
BOX 5 世界の原発 067
BOX 6 原発事故と漁獲量 073
BOX 7 食べられている淡水魚 075
BOX 8 濃縮係数 085
BOX 9 生態学的半減期 093おわりに 104

























おわりに
中禅寺湖、大槌川、秋川、城沼、霞ヶ浦、手賀沼、野尻湖、安家川、気仙川、モツゴ、オイカワ、エビ、ゴロ、ワカサギ、サクラマス、ブラックバス。淡水魚から始まった調査研究の50年だったが、津波と放射能でその50年間に行った川や湖沼、調査した淡水魚がこのようなことになるとは思わなかった。
本書をまとめる作業の中で、淡水魚の放射能について報告している2人の研究者にネット上で再会した。霞ヶ浦の放射能汚染をまとめられた浜田篤信さんは霞ヶ浦の環境問題に真剣に取り組まれる真摯で厳しい先輩である。46年ほど前、オイカワについて大阪で指導を受けた水野信彦さんの愛媛での弟子が、水産総合研究センター増殖研究所上田庁舎内水面研究部生態系保全グループ長、井口恵一朗さんである。
井口さんは水産総合研究センターの事業「福島県ならびに隣接県内の内水面生態系における放射性物質の移行過程調査」の報告を現場で取りまとめている。オイカワ採集の旅の最後、オイカワ研究の大先輩中村一雄さんを訪ねたのは、46年前の淡水区水産研究所上田支所であった。
放射能をめぐる人と魚と水の関係を知りたいと始めた世界の旅を終わった今、行ってみたいと思うのは森と小さな湖のあるムーミンの国である。
2012年8月7日 いすみ市 資源維持研究所にて
水口憲哉

選ぶべき未来は森と川と魚たちが教えてくれる。─『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著)

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フライの雑誌 125(2022夏秋号)
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ISBN978-4-939003-87-5

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