「Basser」誌12月号の〈大せんぱいインタビュー〉が面白い。元トーナメンターのバス釣り師、小林研一さん(82歳)へのロングインタビュー。なにしろ話のとっかかりが真珠湾攻撃からである。10数人いたクラス会のメンバーがほとんど逝っちゃったり病気になったりして元気なのは4人、というマクラもいい。集団でやいのやいのと競争する釣りには、わたしはまったく興味ない。バス釣り競争に集まるヤンキー風の人々は、自分がカツアゲされたこともあってむしろキライだ。でもこの記事はたいへんよかった。
高齢社会とはいえ80歳近くにもなれば世間ではおじいちゃんと呼ばれる年齢だ。「Basser」のおじいちゃんものに反応したこともあって、ふと過去の『フライの雑誌』にはおじいちゃんの登場率が高いような気がしてきた。たしかにおじいちゃんリスペクト企画の記憶は多々ある。
そこで直近10年のバックナンバーをざっと振り返ってみた。『フライの雑誌』は本当におじいちゃんが好きなのだろうか。
第69号&第88号特集の高田弘之さん(1925年生まれ)、第80号特集の服部名人(1928年生まれ。たいへんざんねんなことに2011年にお亡くなりになった)、関口一郎さん(1914年生まれ)、第92号表紙の中村羽舟さん(1930年生まれ)、第101号特集の塩澤美芳さん(1932年生まれ)の皆さまには、本誌のようなちっぽけな雑誌の超ロングインタビュー企画へ、こころよく応えていただいた。小沢福夫さん(1935年生まれ)には第102号へエッセイをご寄稿いただいた。本当にありがたい。読者からの評判もたいへんよかった。とても勉強になった。
年齢はおじいちゃんかもしれないが、『フライの雑誌』に協力してくださっているおじいちゃんの皆さんは、バイタリティ、行動力、一貫したオリジナリティで抜きん出た魅力をお持ちだ。そしてどなたも常に新進気鋭の気質をお持ちなのが何よりすばらしい。だからこそ、うちのような編集部にも分け隔てなくつきあってくださっていると思う。
おじいちゃんが好きなのではなく、全然おじいちゃんじゃないおじいちゃんが好きなのかもしれない。ていうか人物の魅力に年齢は関係ないということを再確認する。おじいちゃんでもおばあちゃんでも中年のおっさんでもお姉さんでもマドモアゼルでも小生意気な若者でも、魅力的な人がいらっしゃればどんどん誌面に登場していただきたいです。よろしくお願いします。