「アングラーによる義援金フリマ」へ参加

八丁堀の日本釣振興会ビルで開かれた、「東日本大震災 アングラーによる義援金フリマ」へ参加してきた。

種類を問わず、街頭募金には個人的に違和感を持っている。その理由を語れと言われれば小一時間はくどくどと語れるのだが、今回のような企画は別。声かけの中心になっているのが、以前『フライの雑誌』にも投稿してくれて、なにかとお世話になっているライターの谷剛さんでもあるし、本当に微力だけれど、私も力になりたいと思った。

そこで本棚から既刊の単行本を数冊ごそごそと取り出し、編集部の片隅のラックに刺さっていた、7フィート3番の「×××の◯◯◯◯◯◯◯」を一本抜いた。これは3ピースのワンアンドハーフ(?)というわりあい珍しいフライロッドである。

前から欲しくてビンテージ市場で入手したはいいものの、ほとんど使っていない。だったら今回のフリマに提供しよう。ついでにオリムピック釣具のふるいフライリールもつけよう。

1130に八丁堀の会場に着くと、すでに人でごった返していた。さすが谷さん、企画も運営も完ぺきだ。さっそくテーブルを借りてフライの雑誌社のお店を開いた。その場で段ボールの看板を書いてお客さんを待ったが、皆さんあまり立ち止まってくれない。どうもルアー系の人が多いようだ。フライは人気がない。フライ系の出展社はうちだけだったみたい。まいった。

仕方ないので売り子として思いきって声を出してみた。両手を口にあてた。
「フライロッドいりませんか」。
会場で声を出した売り子は私が初めてで、一瞬会場がぎょっとしてこちらを見たのが分かった。すかさず「お代はいくらでもいいですよ」。

〝お代はいくらでも〟はちょっとまずかったらしく、事務方のおじさんがこちらを振り向いて苦笑いしながら「それはちょっとどうかねえ」と言った。

お客さんの反応がわるいので呼び込みの内容をいろいろかえた。
「めずらしいフライロッドですよ」、
「廃盤品のフライロッドですよ」、どっちもいまいち。
最終的にお客さんに効いたのは
「ブラックバスがたくさん釣れるフライロッドがありますよ〜」
だった。やっぱりそういうことか。

結局、持ち込んだ自社の単行本6冊(品切れ本含む)とフライロッド、リール、一時間ほどですべて完売した。もう本当に感謝。売り上げはなんと5000円。全額を谷さんへ手渡して義援金にしてもらった。こういう支援は(まさに不謹慎だけど)楽しい。

そのあと、押上駅へまわってスカイツリー見学。地震にも負けなかったえらいタワーだ。午後は多摩川でルアーを暗くなるまで投げた。釣れず。

いい休日だった。