『淡水魚の放射能』には〝汚染へどう対処すればいいか〟は書いてありません。

『チェルノブイリ:大災害とその帰結』の結論の章でスミスとベレスフォード(2005)は環境汚染の予想される未来について、50年後から10万年後までを6つの年代区分に分けて予測している。それは放射能核種別の半減期と関係してくる。

事故後50年 事故後150年 …(それぞれ解説)

 これは30㎞圏内の計測値等をも参考にして、チェルノブイリ事故から20年後に検討しているわけだが、福島第一原発事故からまだ1年半弱しか経過しておらず、30㎞圏内の汚染状況も全くと言ってよいほどわかっていない現状では、このスミス等の予測を参考にしたとしても何も言えない。

 ただ、福島から群馬、栃木、茨城にかけての淡水魚の放射能汚染がこれからどうなるかについては、これまで見て来たヨーロッパにおけるチェルノブイリ事故の影響からある程度予測できる。50年は無理にして20年後については。

 ただそれはヒトが食べても大丈夫かどうかという関心からで、そのことは食べる人一人一人が考えることだ。ここで○○Bq/kgだからどうか、と言うことはできない。(水口憲哉『淡水魚の放射能』72頁より引用)

実際のところ、福島事故により起きてしまった放射能汚染は私たちが生きている間は消えません。『淡水魚の放射能』にも〝汚染へどう対処するか〟は書いてありません。〝どうしようもない〟のが現実です。(※「山の除染は無理」毎日新聞での水口氏のコメントをご参照ください)

であるがゆえに、福島事故を起こした時代を生きる私たちは、〝いま何が起きているのか〟をみずから知る必要があるのではないでしょうか。50年後、150年後の地球にも森と川と魚たちと、私たちの子どもたちが生き残っていていてもらうために。

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