近刊『淡水魚の放射能』(水口憲哉書き下ろし)からのこわい図。政府は再処理工場をあきらめていない。

近刊『淡水魚の放射能 汚された川と湖の魚たち』(水口憲哉書き下ろし)第1部「世界の淡水魚の放射能汚染」の第16章「カンブリア湖沼群 イングランドのパーチ」からの、ちょっとこわい図。

英国の有名観光地カンブリア湖水地方は、かわいらしいピーター・ラビットの生まれ故郷。そこの美しい湖沼群は1986年4月のチェルノブイリ原発事故による放射能で汚染され、マスのセシウム最高値1000ベクレル/kg、パーチの最高値2500ベクレル/kgが計測されています。

カンブリア湖水地方は、約15キロ離れた沿岸のセラフィールド(ウィンズケール)再処理工場からの放射能被害も受けています。近隣住民の発ガン率は全国平均の何倍も高い。図中の「小児白血病10倍 小児ガン4倍」の数字を覚えてください。

青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場は、原発が1年間で捨てる放射性廃液を、1日で捨てます。青森で捨てた放射能は首都圏まで流れていくという実験結果がでています。

強引に進められる再処理工場に不安の声をあげる地元六ヶ所村の人々と、すでに再処理工場からの放射能被害を受けているセラフィールドの住民との暮らしを作品上でクロスさせたのが、映画『六ヶ所村ラプソディー』(鎌仲ひとみ監督)です。

日本政府の原子力政策は、私たちに健康被害を与える再処理工場の存在を前提にしています。再処理したとしてもなお残る核のゴミを棄てる場所はありません。原発がトイレのないマンションといわれるゆえんです。そしてこのようなおそろしい再処理工場を政府はまだあきらめていません。

水口憲哉氏の講演録〈放射能を海に棄てないでください〉(『フライの雑誌』第79号掲載/テキスト全文無料公開)へのリンクを再掲します。

緊急出版! 選ぶべき未来は森と川と魚たちが教えてくれる
『淡水魚の放射能  川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』
水口憲哉(国会事故調査委員会参考人/東京海洋大学名誉教授)書き下ろし 類書なし 9月刊行