山形県の県魚「サクラマス」を高級ブランド化しようと県北部の遊佐町で陸上養殖の実証実験が始まっている。平成30年5月までに体長50センチ、1・2~1・5キロサイズまでに育てて、東京五輪・パラリンピックが開催される32(2020)年度にサクラマスの最高級ブランドを作るのが目標という。(柏崎幸三)
(産經新聞 20180109)
マルハニチロ、キッツ、JXTGエネルギー、水産研究・教育機構、山形県、香川高等専門学校の産官学6者が総事業費約3億円をかけ、日本固有種のサクラマスを水産資源として養殖し、輸出可能な最高級ブランドを作るのが狙いだ。
(産經新聞 20180109)
山形県はサクラマスが遡る小国川をダムで潰して陸上養殖とはふざけていますね。そしてこういう面子に水産研究・教育機構が顔を出すのは何とも哀しいことです。
シロザケに倣ったサクラマスの人工孵化放流による増養殖事業は、経済的にも生物多様性の考え方からもとっくに破綻しているのが現実です。そうであっても日本水産軍の行進は続く。錦の御旗は東京五輪。サクラマスといったい何の関係が。
水産庁と水産研究・教育機構にとって、サクラマスの人工養殖事業は失敗でしたと認めるのは、先人のしごとを否定することで、なおかつ自分と後進の食い扶持を失うことに他ならない。失敗は認めたくないですよね。でもそれは科学的態度とはいえません。
気の毒なのは当のサクラマス。撃ちてし止まむ大和魂の前に、絶滅させられてしまう。
> 【特別公開】 組合長が自死 山形県・小国川ダム問題まとめ
サクラマスを「幻の魚」にしないためにも養殖は必要だ。
(産經新聞 20180109)
淡水魚のヤマメは、海に降りる降海型と陸封型に分かれる。この降海型がサクラマスで、川で生まれたヤマメは1年半ほど川で成長し、特有のパーマーク(斑点)が消え、体表が銀白色に変わる銀毛(ぎんげ)化する。降海前に海水に耐えられる浸透圧調節ができるように体質を変えるのだ。この銀毛化したヤマメのみが降海し、サクラマスになる。
(産經新聞 20180109)
産経の記者さんは自分が分かっていないままに書いているから日本語が意味不明ですね。魚のニュース書くなら、お願いだからちゃんと勉強してからにしてほしいですね。以下の記述を参考にしていただければ幸いです。
「六億六千万円かけて整備したふ化場だが、『開設一〇年目の昨シーズンまで、ふ化場内への遡上は一匹もない。手前に砂防ダムが複数あり、魚道こそ備えているが、ダムに砂が流入するなどして遡上を阻んでいるのが原因とみられる。県農林水産部生産流通課は「サクラマスは遡上前後の約2年を川で過ごすため、サケより川の影響を受けやすく、環境がよくないと生息が難しい。川に入る前に捕獲されることも多く、全体の回帰数が予想以上に少なかった」と弁明する。』」
> 六億六千万円かけて遡上ゼロの「県の魚」(「フライの雑誌-第71号」)
「スモルト(銀毛)となって降海するのがサクラマスで、銀毛化せずに河川に残留しているのがヤマメである。この分け方と呼び分けで問題はない。ただ、二つややこしいことがある。 まず、銀毛化するまでは形態、行動、生理においてサクラマスとヤマメの区別がつかない。また、河川に残留したヤマメの中にサクラマスと考えられる雄が混ざっている。サクラマスの雌は大部分が…」
> ヤマメとサクラマスとを分ける鍵(「桜鱒の棲む川」)