向き合おう、勉強しよう、力をつけよう。

以下は、日本で初めてアメリカからバスを移入した赤星鉄馬氏が、昭和13年(1938年)に書いた文章だ。

ブラックバッスは今まで述べてきた通り、我が国の淡水魚には匹敵するもののない価値の高い食用魚であり、釣魚である。

私は、有史以来優良な食用生物が地上に氾濫したため、人類が惨害を被ったという話は聞いたことがない。最上最良な食料こそ、産めよ、増えよ、地に満ちよである。…

私はブラックバッスの問題だけでなく、鳥類にしろ、家畜にしろ、あまねく貴重な種類を世界に求めて、その効用価値を巧みに我々のものとなすべきであると考える。

ブラックバッス」(赤星鉄馬著)福原毅編

改めて本書を読むと、赤星鉄馬氏はラージマウスとスモールマウスの両方を芦ノ湖へ導入したつもりだったことが分かる。ラージは定着したが、スモールはそうではなかったと書いている。

ちょうど80年後の現在、巷では普通に一般河川でスモールマウスバスが釣られている。ネット上には個人が発信している川スモールの釣り動画がいくらでも出ている。でもバス釣りの雑誌には川スモールの記事は載らない。今は法律もあるんだからタブー扱いはナンセンスだ。向き合おう、勉強しよう、力をつけよう。川スモールの攻略法を雑誌に載せてくれって言ってるんじゃないですよ。

特定外来生物法のとき、バス釣り業界のほとんどはきちんと勉強しておらず、何より腹がすわっていなかったという印象だ。様々な思惑から扇情的に攻撃してくる相手へ論理的に熱く対処できなかった。許認可事業だったり、上場しているような大きな会社ほど、腰が引けていた。そこは今でも変わらない。

バスが生態系を変えるのではない。人間が生態系を変えたからバスが繁殖するだけだ

ブラックバスという外来魚に、全部責任をおっつけてしまおう

めちゃくちゃな議論を展開する研究者

バスを火あぶりにしたい人々、それぞれの事情

魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか」(水口憲哉)

2005年に出した本。この13年間を俯瞰すると、バス釣りをとりまく社会情況は息苦しくなっている。特定外来生物法制定時の無茶苦茶ないきさつを知らない若い人も増えている。釣りと生きものをよく知らない人々が、それぞれの思惑や一過性のノリで、「バス釣りは犯罪」と喧伝した。その後遺症がなおある。世の中はこうして上塗りされていく。

「魔魚狩り」は毀誉褒貶、色々言われたが出しておいてよかった。仲間もできた。

いまバス釣り雑誌は、日本の川にスモールマウスバスの釣りは、表向きないことにしたいと考えている。逃げちゃダメだ。逃げなければ記録は残る。

さいきん歳とったせいか、ブラックバス釣りに限らず、若い人たちが釣りすることに後ろぐらい気持ちを持つような社会を後世へ残しちゃあかんと、つくづく思う。物事を自分の頭で判断して自分の言葉で語れるように、若い人こそ勉強しなくちゃいけない。色んな本を読もう。

大人はときどき色んな都合で、あるものをないことにする。逆に、ないものをあることにする。その目論見を見抜こう。けっきょく損をさせられるのは、自分たちの未来だ。(こういうことって、釣りだけじゃないのは言うまでもない)

いまふと、「特定外来生物ラスカル」というのを思いついた。

さっそくググってみたが、意外と言われてないみたい。

[フライの雑誌-直送便] 最新号が出るごとに直送します。次号第114号は6月に発行します 
フライの雑誌 114号: 特集1◎ブラックバス&ブルーギルのフライフィッシング 特集2◎[Shimazaki Flies] シマザキフライズへの道1島崎憲司郎の大仕事
釣れた。ところで、バス釣りの人の「釣った魚を持ち上げて、変顔してる自分とツーショット」の率高い。相当な知性派の人でも、べろーんと舌出してたりする。様式なのだろうか。
魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか
フライの雑誌 113(2017-18冬春号): ワイド特集◎釣り人エッセイ〈次の一手〉|天国の羽舟さんに|島崎憲司郎
○〈SHIMAZAKI FLIES〉シマザキフライズ・プロジェクトの現在AMAZON
フライの雑誌-第112号 オイカワ/カワムツのフライフィッシング(2)
フライの雑誌社の単行本新刊「海フライの本3 海のフライフィッシング教書」