キャッチ・アンド・リリース アンケートへの回答を続々といただいている。キャッチ&リリース・ブームだった20数前と比べると、関係者の認識がだいぶ成熟した印象だ。えらそうに言う訳じゃないけど、ブーム以前から関わってきている当事者として強く感じる。もちろん自分自身の考え方、スタンスも変わった。(関わってきた、というのもなんだかえらそうだな。くわしくはこちらを読んでください)
今回の特集については、企画のはじめ、やるかやらないか、かなり悩んで、じつは気乗りもしなかった。
ブームだった20数年前は、色んな目的をもった人々がC&Rに乗っかってきたがった。こんな辺境の編集部にも、C&R区間を作る、作った、あるいは作りたい、という人が寄ってきた。自分たちはいいことをやっているんだから、雑誌の誌面でとりあげなさい、的なアピールを受けることがしばしばあった。
だが、ざんねんなことに、こちらは他のことには鈍感なくせに、釣りにまつわる作り笑いには敏感だ。単純に釣りが好きとか、地元の川が好き、という以外の、大人の事情とか妙な自己実現のツールに釣りを使われるのは、たいへん不愉快だ。釣りを汚さないでくれ。と思った。だから、そういうのは他の雑誌でやってくださいと、必要以上にガツンと断った。金勘定するなら向こうの方が儲かるよ、くらいのことも言った気がする(ひどい)。
本当はこちらが立場上一歩引いて、多くの人が参加できる建設的な議論のできる場を提案すればよかった。でもこっちも若かったし、そんな余裕はなかったんだな。するとそういう相手はたいてい怒って(当たり前だなあ)、今度は石を投げてくる。そしてしばらくすると、〈他の雑誌〉で彼らが〈C&R区間設置の立役者〉とかのキャッチコピーがついて、にこにこ笑顔で出ているのを見る。ホラ、やっぱり自分が目立ちたかっただけなんじゃん。なんだよ立役者って、意味わかんない。川はみんなのものだよ。
そういうことが何回か重なると意固地が重なっていく。おれは釣りは好きだけど、人間は好きじゃないんだよ、業界もだいきらいだ、みたいに。どんどん原理主義になっちゃう。そういうやつがそういうスタンスで編集した雑誌はあまり面白くなさそうだ。反省。ごめんなさい。
リリース云々は、魚と人間とのあいだの問題とは違う。人間と人間とのあいだの問題だ。ここまで手元に届いたアンケートの内容で、今のタイミングでリリース絡みの特集をやるのは正解だったと確信している。機は熟した。時は来た。
次号第117号にご期待ください。
時は来たつながりで、ちえみちゃんと馬場さんをどうぞ。