2019年10月5日の〈ロシアの大自然〉展講演|「ツキノワグマとヒグマが出会うとどうなるのか?」 講師:山﨑晃司(東京農業大学森林総合科学科教授)から。
NHKラジオ深夜便、TBSラジオへのご出演でも明らかになったように、山﨑さんのお話は内容、語り口ともにすこぶる面白い。科学落語みたいな感じ。山﨑先生のこのノリは、著書〈ムーンベアも月は見ている〉にも通底している。クマのことを今までぜんぜん知らなかった人にも、本書が面白い本だねと言ってもらえる背景はそこにある。
質疑応答で、〈クマはとにかくサケを食うんですよね〉という認識が会場から提示されていた。実際はそんなに依存してない、とのこと。だってサケ獲るのたいへん。野生動物の食べ物の選択はつねに摂取するための労力とのトレードオフ。人間の〈クマはとにかくサケを食う〉という思い込みは、たぶんにアイヌの木彫りグマ由来。将来、夕張の〝メロン熊〟がアイヌの木彫りよりメジャーになれば、〈クマはとにかくメロンを被る〉ということになるかも。
今年は(今年も)、北海道の河口域におけるカラフトマス、サケ釣りの人々の、マナーの悪さが注目されている。釣り場へ食べ物を捨てる、ゴミを捨てる、釣った魚を捨てる、魚の腹を割いてワタを捨てるなどの行為は、今さら言うまでもないことだが、人として失格だ。イモータン・ジョー以下のケダモノである(と言ってはケダモノに失礼)。そういう人物は二度と釣り竿を持たないでほしい。
知床の現場から悲痛な叫びが上がっている。
【スタッフのつぶやき】幌別川でのヒグマの捕殺を受けて
釣った魚を放置すれば、ヒグマが出現した際に釣った魚を置き去りにして避難すれば、ゴミを投げ捨てれば、釣った魚を捌いて内臓を河川に投棄すれば…今回と同じようなことが今後も繰り返されるのは確実です。そしてこれまでも散々繰り返されてきたことです。
このままだと、サケ・マス釣りができる釣り場がどんどん減っていくのは、時間の問題だと思う。
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今年は疫病との関連で、初心者の釣り人口が増えた。遠出の旅行ができないから、初めて釣りというものをしてみます、という雰囲気だ。ジャンルは主に、海の堤防釣り、川の小物釣り、管理釣り場だ。アウトドア活動全般がちょっとしたブームになっている。近場で気軽に、がキーワードだ。
人数が増えたことに伴って(と言っていいと思う)、釣り場へのゴミの放置、釣りのルールを知らないことによる違法行為、釣り場のマナーを知らないことによる、人間同士のトラブルなどが増えたと聞く。
こういっちゃなんだが、バイク乗りは全員暴走族だみたいに思われるのは、たいへん迷惑だ。政治家にだって、なかには清廉潔白な人物もいるだろうに。
釣りのルールとマナーの啓発活動は、監督官庁の水産庁と水産行政の仕事だ。申し訳ないけど今まで何十年も語ってきて自分はもう十分関わったと思う。
この秋、ヒグマは嫌だけどツキノワグマにだったらちょっと会ってみたいかなあ、なんて思ってる方へオススメのクマ本。ほんとに会ってみたい?
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