問答無用でカッコよい。

樋口明雄さんの新刊『ストレイドッグス』。問答無用でカッコよい。

【公開記事】
クマと生きる(樋口明雄)
『目の前にシカの鼻息』より

樋口明雄さん新刊『ストレイドッグス』(祥伝社文庫・書き下ろし)

こういうところでこういう暮らしを楽しんでいる、こういう風貌のこういう人物が、

ひとたびこういう世界観の物語を書くと、それはそれはもの凄いという事実に平伏する。

南アルプス山麓のログハウス発、
大藪賞作家のユーモアと人間味あふれる初エッセイ集!
『フライの雑誌』掲載作品+書き下ろし+インタビューをまとめました。

…ダウンベストをはおり、三和土で靴を履くと、仕事場のドアを開け、外へ出た。すぐ近くにある母屋に向かおうと、暗がりに一歩足を踏み出したところで、硬直した。

玄関先、数メートルと離れていないところに異形の影があった。

牡ジカである。

二メートル近い巨大な体躯。焦げ茶の冬毛が針金みたいに背中にケバ立っていた。太い胴体から凜々しくそそり立った頭部には、それぞれ一メートルぐらいの長さの立派な角が対になって生えていた。

そいつは、ぼくの目の前で躰を横に向けたまま、まるでどこかに展示された剥製か何かのように、 じっと動かずに〝存在〟していた。

一瞬、何の冗談かと思ったほど、そいつには現実感が欠落していた。

右手に握っていたぼくのライトの光を浴びて、ふたつの目が金色にギラリと輝いたかと思うと、牡ジカは真っ黒な鼻の下にある大きな口を開けて、草食動物独特の白い四角い前歯を剥き出した。

口蓋と鼻先から、呼気が真っ白な蒸気となって噴出した。

そして、ビールを飲み過ぎた酔っぱらいが洩らすゲップのような低い声で、ぼくに向かって「ぐふぅ。」と啼いた。…

(「まえがき」より)

『目の前にシカの鼻息 アウトドアエッセイ』
四六判208頁 税込1,800円
フライの雑誌社刊
ISBN978-4-939003-44-8

『約束の地』(2008)で日本冒険小説協会大賞・第12回大藪春彦賞ダブル受賞
樋口明雄 =著 Akio Higuchi

収録作品:

犬と歩む
ようこそ山小屋へ
あのころ奥多摩で
都会のナイフ
薪を割る
サルを待ちながら(NHK「ラジオ深夜便」で朗読)
クマと生きる
〝イセキ〟を渡れ!
インタビュー〈だんだん、自分には山暮らしが合っていると気づいていったんです。〉
犬が好き、猫が好き/犬の叱り方は子どもと同じ/「私の家族を守らなくちゃ」/犬は忘れやすい/私は風呂に入るべきじゃない/肝硬変と阿佐ケ谷と/来たりもんの心得

「目の前にシカの鼻息」より
目の前にシカの鼻息(樋口明雄著)
目の前にシカの鼻息(樋口明雄著)
2021年6月発売・第122号(はじめてのフライフィッシング特集)から直送 [フライの雑誌-直送便]

 『フライの雑誌』の新しい号が出るごとにお手元へ直送します。差し込みの読者ハガキ(料金受け取り人払い)、お電話(042-843-0667)、ファクス(042-843-0668)、インターネットで受け付けます。

単行本新刊
文壇に異色の新星!
「そのとんでもない才筆をすこしでも多くの人に知ってほしい。打ちのめされてほしい。」(荻原魚雷)
『黄色いやづ 真柄慎一短編集』
真柄慎一 =著

装画 いましろたかし
解説 荻原魚雷

フライの雑誌-第122号|特集◉はじめてのフライフィッシング1 First Fly Fishing 〈フライの雑誌〉式フライフィッシング入門。楽しい底なし沼のほとりへご案内します|初公開 ホットワックス・マイナーテクニック Hot Wax Minor Technics 島崎憲司郎+山田二郎 表紙:斉藤ユキオ

島崎憲司郎さんの『水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW』は各所で絶賛されてきた超ロングセラーの古典です。このところ突出して出荷数が伸びています。

水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW

初公開 ホットワックス・マイナーテクニック Hot Wax Minor Technics 島崎憲司郎+山田二郎 

フライの雑誌-第118号|フライの雑誌 118(2019秋冬号): 特集◎シマザキ・マシュマロ・スタイル とにかく釣れるシンプルフライ|使いやすく、よく釣れることで人気を集めているフライデザイン〈マシュマロ・スタイル〉。実績ある全国のマシュマロフライが大集合。フライパターンと釣り方、タイイングを徹底解説。新作シマザキフライも初公開。永久保存版。|島崎憲司郎|備前 貢|水口憲哉|中馬達雄|牧 浩之|荻原魚雷|樋口明雄

ムーン・ベアも月を見ている クマを知る、クマから学ぶ 現代クマ学最前線」 ※ムーン・ベアとはツキノワグマのことです

フライの雑誌-第121号 特集◎北海道 最高のフライフィッシング|121号の連載記事で人気ナンバーワン。夢を挟むタイイングバイス フライオタクの自由研究2 大木孝威(2020年12月5日発行)

版元ドットコムさんの〈読売新聞の書評一覧〉に『黄色いやづ 真柄慎一短編集』が載っている。もう本当にありがたいです。

真柄慎一さんのデビュー作 朝日のあたる川 赤貧にっぽん釣りの旅二万三千キロ
(2010)

春はガガンボ号 ガガンボは裏切らない。 頼れる一本の効きどこ、使いどこ 

『フライの雑誌』第120号(2020年7月20日発行) 特集◎大物ねらい 人は〈大物〉を釣るのではない。〈大物〉に選ばれるのだ。|特集2 地元新発見! The new discoveries around your home

桜鱒の棲む川 ─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ! 水口憲哉(著)
ISBN978-4-939003-39-4
本体 1,714円