自慢じゃないが、小学校のときから体育の評価は、一貫して「2」である。100メートル走なら途中で休むし、逆上がりはできたことがない。体育で苦労している子どもたちは、悲観しなくていい。べつに逆上がりできなくたって、おじさんは生きている。
体力も筋力もやる気もないため、学校へのぼっていく坂道では、自分以外の全員に抜かされた。10代後半で作ったミニコミ誌のタイトルは「みんなが僕を追い越していく。」だった。甘酸っぱいぞ。
他方、同じく小学校のときから一貫して釣りとは仲がいいこのおじさんは、今まで一緒に釣りをした皆さんから、なぜか「川歩きが速い。」と評価されてきた。本当に速いのかどうか自分では分からない。速いのだっていろいろだし、釣りが雑なだけじゃないかという気もするし。
でもとりあえず、〈街ではスローモーだけど、川だと動きが速くなる俺〉のイメージはなんか好ましい。真夜中は別の顔ならぬ、川では別の人だ。ままならぬこの世での変身願望が満たされてたいへんよろしい。
が、おじさんはいつのまにかおじさんになったため、去年くらいから川で毎回転ぶようになった。このままだと釣り場で転んだ拍子に、腕でも足でも折りかねない。すると「もう川行っちゃダメ」との沙汰が出る。それはまずい。なんのために生きているのか分からない。
そこで、決心した。今後は〈街でも川でもスローモーな俺〉になる。海賊王じゃなくてスローモーな俺。言葉にするとちょっとやっぱり情けない感じ。
ちなみに湖の釣りでは一貫してスローモーなので問題ない。
FM桐生「You’ve got Kiryu!」 11月29日 生放送
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