「できないのは仕事が悪い」

「会社だと仕事できない人が悪いって言われるけど、福祉施設では、できないのは仕事が悪いって言われる。人を中心に、仕事を考えている。」

コトノネ vol.41)

釣りに出かけた遠い町で、釣りの途中でたまたま入った、おしゃれなカフェ兼雑貨店で出会った雑誌に載っていた文章。衝撃を受けた。パラダイムシフトっていうのだと思う。

ちなみに、そのカフェ兼雑貨店さんは、そういうお店に多いように、どこがレジだか分からない店内の雰囲気だった。雑誌は棚に立ててあっても売り物かどうかあやしい。「これ売り物ですか?」とたずねたら「はい。売り物です。」と。

そもそも、通りに面したガラス扉を開けて「こんにちは、」とお店へ入ったとき、おしゃれな若い男女が大きなテーブルに向かって二人ばらばらで座り、ノートPCを叩いていた。でもいらっしゃいませ、と言われなかったので、お店の人なのかどうかが分からなかった。わたしの声は小さい。

太いダクトパイプが複雑に入り組んでいる高い天井で、巨大なプロペラがぶうーん、とゆっくり回っている。

勇気を出して、がらんとした店内の空間へ向けて、誰へともなく声をあげてみた。本人の感覚では侍の「たのもう!」みたいに、実際はまるでひとりごとのようにおそるおそる、「あのう、、、お茶いいですか、、、」。

すると男の人のほうがバネで弾かれたように機敏に立ち上がって、「いらっしゃいませ!」と言ってくれた。お店の人だったんですね。

あとから知ったところによると、女の人のほうもお店の人だった。本とコーヒーの清算をしてくれて「はい。売り物です。」と答えてくれたのは女の人のほうだったから。

今風のカフェでの正しい所作は、俺にはマジな話、よく分からない。お尻がもぞもぞする。

この子はモアイ。恥ずかしいことに、この雑誌自体を知らなかった。全ページ舐めるように読む雑誌は久しぶりでした。

お買い上げして正解。なんかこれ違うぞ、っていう直感があった。うちの本もそういう本になりたい。

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