川を替えるため車で移動していた。車の中は楽しいよもやま話に花が咲いていた。新緑が日に日に濃くなる、おだやかな初夏の午後だ。
「お、アナグマだ。」
ハンドルを握っている友人が言った。
見ると、まるまると肥えたアナグマが車道左側の路肩を逆走してくる。
全身の毛を波打たせて、すごい勢いで向かってくる。
助手席のわたしとアナグマの目がなにげなく合ったその刹那、車とすれちがいざまの一瞬に、下から「フウッ!」と威嚇された。
思わずビクッとした。
やばいアナグマ・ドライバーだった。
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