近年、グラファイト製フライロッドの価格が急高騰している。海外ブランドのフラッグシップ・モデルでは、10万円を超えるモデルが当たり前だ。多くの釣り人にとって一本10万円の釣り竿は、気軽に手を出せるものではない。マスプロ製品なのに、ハンドメイドのバンブーロッド以上に高価なケースも多々ある。
じつは超低価格帯のフライロッドも出回っている。数千円の竿と10万円の竿のどこが違うのか、とてもわかりづらい状況だと思う。差異はあるのだが、それはまた別の話なのでここでは触れない。
いっぽうここ数十年間重ねられてきた、グラファイト製フライロッドの高弾性化・高反発化への努力は、ゴールまで逝ってしまった感がある。アクセルを軽く吹かすだけでピューンとぶっ飛ぶ。グラスファイバー製ロッドが再注目されているのは、フライフィッシング的な揺り戻しだろう。ただ仕方ないことだがやはり高価なものになっている。
日本国内で釣り竿の素材を自社製作できるロッドメーカーは、きわめて少ない。名前の通った多くのブランドは、企画だけ立案してあとはほとんど外注し、自社製品として販売するOEM方式で釣り竿を作っている。釣り具に限らずOEMは普通のことだ。
ただまあ聞くところによると、とある国内大メーカーの開発担当者が、店頭でインディーズ系人気ロッドを手にとって、「うちもこれと同じ竿を作ろう。」と公言したそうで、それじゃあかんでしょ、ということである。なおかつ出した竿のパクリ元がユーザに即バレしたというから笑うしかない。
長野県飯田市、天竜川にほど近い高台に本社を構えるロッドメーカー、天龍。自社ブランド「テンリュウ」としてはもちろん、他社製品のOEM製造を幅広く手がけているため、実は知らないうちにあなたも天龍製品の愛用者になっているかもしれない。
これはフライの雑誌-第101号(2014年)に掲載した〈「日本フライフィッシングの軌跡」第4回|「メイド・イン・ジャパンの日が昇る」塩澤美芳さん ロングインタビュー〉(ライター:稲垣宗彦)の書き出しだ(全文公開中)。
本誌読者ならご存知のとおり、㈱天龍は長野県飯田市に大規模な自社工場を持っている。素材の開発、生産、アッセンブリー、流通まで、国内自社で行っている希少なメーカーだ。上記記事中では、創業から一貫して「〝メイド・イン・ジャパン〟を頑なに守り、筋の通った竿作りを続ける」と評されている。
2023年春、テンリュウ・ブランドのフライロッドの新製品が、久しぶりにリリースされることが発表された。
・超低弾性カーボン素材を採用し、グラス素材に限りなく近いフィーリングを実現。
・グラス素材に近い粘りがトルクフルなループを形成し、カーボン素材による「軽快」な操作性を実現。
(フェイテス ベネット 製品ページ)
〈超低弾性カーボン〉の一言が近年潜んでいたフライロッドのトレンドを顕在化している。痒かったのそこ、という感じ。素材はグラファイトとグラスファイバーのコンポジット(合わせ技)を採用ということで、天龍さんのお家芸である。しかもワンストップ・メーカーならではのお手頃な価格設定だ。
テンリュウ・ブランドは、対外的なPRが控えめすぎる風情は否めないものの、そこを含めてくそまじめで背筋の伸びた社風が個人的に好きです。(先日依頼した修理品対応も迅速でした)
けっきょく何が言いたいかというと、早く実物見せてほしい、ってことである。
フライの雑誌 125(2022夏秋号)
> くわしい内容はこちら
Flyfishing with kids.
一緒に楽しむためのコツとお約束
子供と大人が一緒にフライフィッシングを楽しむためのコツとお約束を、子供と大人で一緒に考えました。お互いが幸せになれるように、子供が子供でいられる時間は本当に短いから。
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座談会「みんなで語ろう、ゲーリー・ラフォンテーン」
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