富山県黒部川最上流の小学校に赴任した若い教師が、フライフィッシング教室を開いた。
危険だからという理由で川から隔絶されていた子供たちは、釣りを通じて、今まで見えなかった地元黒部川の魅力を初めて発見する。
同時に、地域の大人たちとの交流も始まる。自分で作った釣り竿と毛バリでイワナを釣り、食べる。川と魚と水生昆虫と人間の繋がりを知る。身近な自然がまぶしく輝き始める。
ところが上流にあるダムからの排砂により、あれほど輝いていた川は一瞬で蹂躙される。代替で養殖イワナが大量に放流されるが、シルトの舞う川でいくら魚が釣れても〝なにか違う〟〝楽しくない〟と子供たちは戸惑い、落胆する。
教師は子供と共に感情を揺さぶられる。大きな破壊の前で自分の無力につぶされそうになる。しかしやがてまた動きだす。
そのきっかけは、やっぱり川と子供たちが教えてくれた。…
『宇奈月小学校フライ教室日記』は、1990年代始めの黒部川を舞台にした、先生と子供たちの9年間のドキュメントです。子供は、水辺に立ち釣り竿を手にすれば、生きていくのに大切なことを勝手に学んでいきます。
『宇奈月小学校フライ教室日記』(本村雅宏著)の第一章を全文公開します。
いつまでも、今日より待ち遠しい明日であってほしい。
そんな思いを込めて。
127号が3月解禁に間に合わないのが確定したので、
出るまで、去年の春特集を楽しんでいただければ
幸いです。高評価のいい号です。
第124号 特集◎ 3、4、5月は春祭り 全国の春の釣りとその時使うフライ|ずっと春だったらいいのに!
動画の中で『フライの雑誌』122号が紹介されています。
…