今まで紹介していなかった話。2008年、「第16回 地球環境映像祭」へ、映画「不都合な真実」を観に行った。同時開催、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のノーベル平和賞受賞記念講演を聴いた。
本来なら万年単位で変化する現象を、人間はわずか100年で激変させてしまう。そこが問題なんです。というような内容を、講演者の先生がおっしゃっていた。たいへん興味深かったので、講演録として「フライの雑誌」第81号に4ページの記事にした。掲載誌を贈呈した。
すると記事に不正確な部分があると、講演者の先生から直接抗議のお手紙をいただいた。指摘されてみると、たしかに編集進行上の詰めが甘かった部分はあった。素直に反省して、ごめんなさいした。
講演録には、編集部が書いたコラム(下写真)を、一緒に載せていた。IPCCは原発を推進していた側だ。国内では経産省とタッグを組んでいた。今思うと、どこの馬の骨ともわからない釣り雑誌ごときに批判めいたことを書かれて、腹が立ったのかもしれない。なにしろノーベル平和賞だ。
IPCCは3・11の後で原発推進を宗旨替えしたようで、変わり身が早いと感心した。最近になって、またさらに身を躱しつつあるとかないとかで、いそがしい。「不都合な真実」がいろいろと多いようだ。
○当日の講演では触れられなかったが、IPCC第4次報告書の中には、「二酸化炭素の削減可能性を持つ主要な緩和技術」として、原子力発電が盛り込まれている。いま日本は、地球温暖化対策と称して、原子力発電を推進しようとしている。洞爺湖環境サミットに原発推進宣言を入れようという動きもある。
○原発には核のゴミの処理問題、軍事への転用、データ偽装、天災など問題が多くあり反対意見も多い。薬だと言われて飲んだら毒だったというのでは困る。WWF(世界自然保護基金)は「地球温暖化対策に逆行する」として原発を真っ向から批判している。日本の環境省は原発の危険には見て見ぬふりをして、ネクタイを外すのがエコロジーですという。
○かけがえのない地球環境を次世代に引き継いでいくために、私たちのライフスタイルを改める必要があるのは事実のようだ。水辺の生き物を観察し自然のなかで遊ぶことを喜びとするフライマンが選ぶのは、どんな未来だろうか。
(フライの雑誌-第81号 2008)
原発は地球温暖化防止に不可欠の手段と、G8が高らかに宣言した3年後に福島原発事故。世の中何があるかわからない。
我々は、気候変動とエネルギー安全保障上の懸念に取り組むための手段として、原子力計画への関心を示す国が増大していることを目の当たりにしている。これらの国々は、原子力を、化石燃料への依存を減らし、したがって温室効果ガスの排出量を減少させる不可欠の手段と見なしている。
(G8 北海道洞爺湖サミット首脳宣言 2008年7月8日)
これすごく面白いです。
海水面が12万年前の最終間氷期から2万年前の最終氷期まで上下しながらも下がっていき、その後現在まで一気に上昇した様子をアニメにしてみました。
こうした約10万年単位の周期的な変動を過去から繰り返してきたんでしょうね。 pic.twitter.com/zvbpSi3v9U— ウラヌス238 (@_uranus238) March 4, 2023
動画の中で『フライの雑誌』122号が紹介されています。
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