1980年代後半、日本のマス類を対象としたスポーツ・フィッシング愛好者は悩んでいた。川の生産力が激減している、魚は獲られすぎだ、このままだと釣り場がなくなってしまう、きれいで元気なマスを釣りたい、いい釣り場がもっと欲しい! 彼らは主張した。
再生産するマスの数を維持する手段として、キャッチ&リリースが提唱された。’90年代になり、日本にフライフィッシングの一大ブームが起きた。商機と見た釣り業界は煽った。いい釣り場とはリリース釣り場ですよ、と。
リリース釣り場を誘致するための方便で、釣りで地域を活性化しよう、活性化できる、という論調が登場した。本来、漁業法の理念はリリースとそぐわない。世論の後押しで解釈運用されるようになると、キャッチ&リリースが遊漁規則化された釣り場が各地に登場していった。
2020年代の現在、リリース釣り場は日本の各地にある。ただし、釣りで経済を活性化できている地域は、立地条件とマンパワーに恵まれた一部だ。リリースとマス類の再生産が一致しないことも分かった。やはり大切なのは環境なのだ。
一方、近年マス類の養殖技術は革命的に発展した。お金を払えば大きく美しいマスが、いつでも養殖場から供給される。結果、大物ニジマスも尺ヤマメも、ぐっと釣れるようになった。釣ってもリリースすればまた釣れる。
人間側の都合で作ったリリース釣り場は管理釣り場と同じだ。上質な管理釣り場が増えるのは、釣り人としてうれしい。リリース釣り場、管理釣り場を含めた内水面──、湖、川、池に放流されている養殖マスの数は、おそらく日本が世界一だろう。現在、釣り人一人あたりの〝釣れるマス〟の数は多く、行ける釣り場の数も多い。
それでも釣り人は、その川で再生産したきれいで元気なマスを釣りたい。自然再生産の美しいマスが、いつでも泳いでいる理想の釣り場の実現は、まだまだ道半ばだ。
そんなマス釣りの時代に私たちは暮らしている。
> cf.【特別公開】 特集◎オトナの管理釣り場「この20年間で日本のマス釣り場はどう変わったか」(堀内正徳)
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第126号〈隣人のシマザキフライズ特集〉続き。島崎憲司郎さんのスタジオで2022.12.26撮影。狭いシンクを泳ぐフライ。まるっきり生きてる。これ笑うでしょ。まじやばい。(音量注意) pic.twitter.com/vFuHHPEJvh
— 堀内正徳 (@jiroasakawa) December 27, 2022
フライの雑誌 124号大特集 3、4、5月は春祭り
北海道から沖縄まで、
毎年楽しみな春の釣りと、
その時使うフライ
ずっと春だったらいいのに!